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食堂かたつむり

  1. 食を通して描かれる人間愛の物語。
    メルヘン風の話の運びに、つい入り込んでしまう不思議な魅力がある。
Image_20201126093401食堂かたつむり
監督:富永まい
脚本:高井浩子
原作:小川 糸(『食堂かたつむり』)
製作総指揮:三宅澄二
音楽:福原まり
製作国:日本  2010年  119分 

倫子(柴咲コウ)は、母ひとり娘ひとりの境遇、勝手気ままな母親ルリコ(余貴美子)との確執で家を出た。倫子の手もとに残ったのは、料理のレシピノートと祖母から受け継いだ糠床だけ。
倫子はインド人の男と同棲して、自分たちの店を持ちたいとコツコツと貯金して、やっと店が持てる頃に、その男に全財産を持ち逃げされた。
あまりのショックで、失語症になってしまう。

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失意のうちに実家に戻って、母親に店を開くための金を無心をするが、あっさり断られる。母親はスナック・アムールをやっていて、家では豚のエルメスを飼っている。倫子にエルメスの世話をさせる。

そんなか、倫子は熊さん(ブラザーズ・トム)から金を借りて、なんとか食堂かたつむりをオープンさせる。試食会には、熊さんひとりを招待し、ザクロジュースを入れたカレーライスを出す。ザクロは、倫子が小さい時に熊さんから教えてもらった果物である。
倫子の作ったザクロ風味のカレーは、旨いことはもちろん、幸運を呼ぶ。熊さんが家に帰ると、義母との折り合いが悪くアルゼンチンに帰ってしまった妻のシニョリータから、初めて電話がかかってきたというのだ。

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倫子作る料理は、幸せを呼ぶと評判になり、食堂かたつむりにはカップル客が集まるようになる。ただし、1日1組しか客を取らない、スローフードの店。

町の有力者が亡くなって、お妾さん(江波杏子)は力を落とし喪服で町を徘徊するようになった。お妾さんは熊さんの勧めで、食堂かたつむりのコース料理を予約した。
料理は、果物のリキュール酒とリンゴで始まり、ホタテと甘鯛のカルパッチョ、からすみのリゾット、ラム肉の香草焼き野生キノコ添え、参鶏湯、デザートと進んだ。お妾さんはこれをすべて平らげた。数日後、紫のワンピースに身を包んだお妾さんが街を闊歩する。

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ルリコの高校生時代の初恋の相手シュウ先輩(三浦友和)から、ルリコはすでに手遅れの癌であると診断される。シュウ先輩は、死期が間もないルリコにあえて求婚し、結婚披露のパティーの料理を倫子が作ることになる。
ルリコは飼い主がいなくなるとかわいそうだから、エルメスを食べてしまおうと言い出す。

倫子のこしらえた料理は、豚肉を使った世界各地の名物料理であった。かくして、エルメスは結婚披露のパーティに集まった人々の胃袋に収まった。ここで、残酷に感じられるが、エルメスはルリコたちに食べられてこそ浮かばれるというもの。

ルリコが亡くなった日、食堂かたつむりの前には白い鳩が息絶えていた。倫子はルリコの化身である鳩を、ソテーにして食べてしまう。鳩を食べると、倫子は声が出るようになった。

エルメスと鳩を食べるところは、地産地消が推奨され、飽食の時代を反省し、さらに輪廻転生を示唆しているように思われる。

ある夜、押入れの中のフクロウ時計が12時を知らせた時に、倫子は時計の下にあるルリコの手紙を見つけるのだった。倫子を影からいつも見守っていた、人を幸せにする料理を作れるのだから頑張りなさい、という内容だった。

原作の『食堂かたつむり』(小川糸著)は、2011年7月にイタリアの文学賞であるバンカレッラ賞の料理部門賞を受賞した。→人気ブログランキング

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