『チェット・ベイカー・シングス』(CD)チェット・ベイカー
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「このアルバムは1954年と1956年の録音で構成されています」という『チェット・ベイカー・シングス』に関する文章について、ある人が「これは違うではないのか」と言い出した。「1954年と1956年に、それぞれアルバムを出したのを間違って書いたのではないか。そうとしか考えられない」と乱暴なことを言う。
「ジャズ・アルバムでは、よくあることで間違いではないと思う」と反論したものの、自信がなかった。
帰ってCDのブックレットを読むと、文章は正しかった。
1954年に録音した曲に、1956年に録音した6曲が加えられ、1956年に発売されている。
アルバムのタイトル『チェット・ベイカー・シングス』は、「トランペッターでならしたチェット・ベーカーが歌います」という決意がそのまま。
トランペッターが歌ったって、 個性が光っていればいい。歌ったら、いけるじゃないか、ということになった。技巧は無用。料理でいえば素材そのものの旨さだ。世紀の名盤はこうして生まれた。
そんな、チェットベーカーの歌声は少年のつぶやきのような中性的なもの。
音域は広くない、だから声を張り上げることもない。ハスキーで朴訥、物悲しい響きがする。
音量を落としてひっそりと聴くような曲が揃っている。
1.That Old Feeling(L. Brown, S. Fain) 2. It's Always You(J. V. Heusen, J. Burke) 3.Like Someone In Love(J. V. Heusen, J. Burke) 4.My Ideal(N. Chase, R. Whitning, L. Robin) 5. I've Never Been In Love Before(F. Loesser) 6. My Buddy(W. Donaldson, G. Kahn) 7.But Not For Me(G. Gershwin, I. Gershwin) 8.Time After Time(S. Cahn, J. Styne) 9. I Get Along Without You Very Well(H. Carmichael) 10.My Funny Valentine(R. Rodgers, L. Hart) 11. There Will Never Be Another You(M. Gordon, H. Warren) 12.The Thrill Is Gone(L. Brown, R. Henderson) 13. I Fall In Love Too Easily(S. Cahn, J. Styne) 14.Look For The Silver Lining(B. DeSylva, J. Kern) |
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