リトル・ミス・サンシャイン
ロードムービーだから、目的地に着くまでに困難なことがいくつか起こり、それを解決または回避して、なんとか目的地にたどり着き、そこでまた一騒動あって、それも丸く収まって、パチパチパチというパターンだ。
出発点はニューメキシコ州のアルバカーキ、ルート66をカリフォルニアに向かう。目的地はレドンドビーチ、800マイルの旅。
![]() Little Miss Sunshine 監督:ジョナサン・デイトン/ヴァレリー・ファリス 脚本:マイケル・アーント 音楽:マイケル・ダナ 製作国:アメリカ合衆国 2006年 100分 |
本作には、親のエゴ丸出しの過熱気味の少女ミスコンのあり方に警鐘を鳴らすニュアンスが感じられる。
シェリル(トニ・コレット)は、ニューメキシコのアルバカーキに住む主婦。
夫リチャード(<グレッグ・キニア)は、自己開発セミナーで独自の成功至上論を声高に振りかざすが、自身は甲斐性なしで収入がおぼつかない。空軍パイロットになるために無言の行を続ける息子のドウェーン(ポール・ダノ)は、ニーチェかぶれで反抗期まっただ中。眼鏡をかけて小太りのオリーヴ(アビゲイル・ブレスリン)の夢は、ビューティー・クィーンになること。ヘロイン中毒で老人ホームを追い出された祖父(アラン・アーキン)は、性力絶倫を自ら吹聴する不良老人。ところが、「負け犬がどういうものか知ってるのか?本当の負け犬は勝てないことを恐れ、努力もしないようなやつのことを言うんだ」などと、オリーヴがくじけそうになると、気の利いたことを言うのだ。
祖父はオリーブの振り付けを担当し、ふたりは日々ビューティーコンテストのための特訓に励んでいる。
そんな家族に、シェリルの兄でありプルーストの研究家で ゲイのフランク(スティーヴ・カレル)が、恋人に振られて自殺未遂を起こし、しばらく一家とくらすことになる。
そんなある日、カリフォルニアで行われる「リトル・ミス・サンシャイン」の出場資格を得たという知らせが留守電に入り、オリーヴは狂気乱舞する。
シェリルは、オリーヴの夢をかなえてあげようとカリフォルニアに向かうことにする。しかし、一家に飛行機代を捻出する経済的な余裕はなく、また、自殺傾向のあるフランクを反抗期のドウェーンとともに残しておくこともできず、嫌がる二人も連れて一家全員がおんぼろのミニバス・フォルクスワーゲン・タイプ2に乗り込んで、一路カリフォルニアを目指す。
オンボロ車での旅は、一難去ってまた一難の連続。
どういうわけか、オリーヴは色盲検査の本を持っていて、ドウェーンが色盲であることが判明する。パイロットになれないことに絶望したドウェーンを、オリーヴは慰めるのだった。
という強引なストーリーも差し込まれているが、なんとか目的地のミスコン会場にたどり着き、オリーブの出番が回ってくる。
オリーブの用意した曲・リック・ジェームズの『Super Freak』が会場に流れると、会場はざわめく。なにしろ、品性に欠ける歌詞なのだ。おまけに祖父がオリーブに伝授した踊りは、ストリッパー仕様の垢抜けないもの。
審査員、観客の大顰蹙を買うなか、オリーブは弱気になるが、この映画のテーマはバラバラの家族がまとまるということ、オリーブを励まそうと一家はステージに上がり、オリーブとともに踊るのだった。
監督は、夫婦であるジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリス。
2006年アカデミー賞では、脚本賞、助演女優賞にオリーブ役のアビゲイル・ブレスリン、さらにアラン・アーキンが助演男優賞にノミネートされ、脚本賞と助演男優賞を受賞した。→人気ブログランキング