ゴーン・ベイビー・ゴーン
本作、『ザ・タウン』(10年)、『アルゴ』(12年)と、一作ごとに類稀な実力を見せつけてきたベン・アフレック監督のデビュー作である。原作はデニス・レヘインの『愛しき者はすべて去りゆく』。ボストンのドーチェスター地区を舞台に描かれいる。
監督と監督の弟である主人公のケイシー・アフレック はボストン出身であり、脇役やエキストラを地元で雇い撮影も同地区で行い、リアリティーを追求したという。監督は『ザ・タウン』でも同じように地元に密着して撮影を行った。
誘拐された娘の母親役を演じたエイミー・ライアンが、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされた。
日本では劇場未公開。
ゴーン・ベイビー・ゴーン Gone Baby Gone 監督:ベン・アフレック 脚本:ベン・アフレック/アーロン・ストッカード 原作:デニス・レヘイン『愛しき者はすべて去りゆく』 音楽:ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ アメリカ 2007年 114分 |
ある日、シングルマザーのヘリーン(エイミー・ライアン)が留守をした隙に、4歳の娘アマンダが誘拐された。
事件発生から3日後、警察の捜索に限界を感じたへリーンの兄夫婦は、街の裏側に精通する私立探偵のパトリック(ケイシー・アフレック)とアンジー(ミシェル・モナハン)に捜索を依頼する。
ヘリーンは子供なぞ構わない自分勝手な生き方をしてきた。
さっそくふたりは、独自の人脈をたどって事件の真相を探り始める。
なにしろ、小さな街なので、住人たちは同じ高校の出身で顔
を見ればどこの誰かわかるような人間関係である。裏社会にはパトリックたちの高校の先輩後輩が多数いて、事件の真相が少しずつわかってくる。
小さな街を強調するためか、シークエンスが変わるたびに街の俯瞰映像が映し出される。
ボストン市警のジャック・ドイル警部(モーガン・フリーマン)は、警察だけではこの事件を解決できないとみて、部下のレミー・ブレサント刑事(エド・ハリス)、ニック・プール刑事(ジョンアシュトン)に、パトリックたちと協力して捜査にあたるよう命令するのだった。
やがて、麻薬の元締めチーズからヘリーンの男友達が13万ドル金を横取りしたことが分かる。へリーンはその金の隠し場所をたやすく吐いてしまい、パトリックたちは13万ドルを手にする。
パトリックはアマンダと引き換えに金を返すとチーズに持ちかけるが、パトリックらのこの計画はドイル警部の知るところとなり、警部の責任のもとにアマンダ奪還作戦が敢行される。
しかし、肝腎のアマンダが湖の中に落ちて行方不明となる大失態に至ってしまう。警部は失敗の責任をとって、あっさり辞職してしまうのだ。この時点で、ストーリーはまだ半分くらいのところ。
ここからストーリーは意外な方向に展開していく。
最後に、パトリックは重大な決断を迫られる。彼の選択は、まわりの期待とは裏腹なもの。その結果、まさに原作の邦題『愛しき者はすべて去りゆく』通りのやるせない結果となる。
タフさと純真さを兼ね備えたパトリックを、ケイシー・アフレックが見事に演じている。→人気ブログランキング
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