マーゴット・ウェディング
神経質そうで高慢そうなマーゴットは、ニコール・キッドマンにぴったりの役柄。
一方、『ショートカッツ』(93年)『カンザスシティ』(96年)『イン・ザ・カット』(04年)で、ジェニファー・ジェイソン・リーが、姉に振り回される妹役を自然体で演じている。彼女は本作の監督ノア・バームバックと2005年に結婚している。
本作は日本では劇場未公開である。
マーゴット・ウェディング [Margot at the Wedding 監督:ノア・バームバック 脚本:ノア・ボーンバック 製作:スコット・ルーディン アメリカ合衆国 2007年 92分 |
小説家のマーゴットが、妹ポーリンの私生活をネタに小説に書いたことが原因で、ふたりは気まずくなり、長い間疎遠になっていた。
そんな妹から再婚の知らせが届き、結婚式に出席するために、マーゴットは息子クロード(ゼイン・パイス)を連れて生家を訪れた。
ポーリンはマーゴットの小説が引き金となって離婚に至ったと思っているが、自己中のマーゴットは「私が妹との縁を切った。今は許しているけれど」と息子に話していて罪の意識はない。
表面上は再会を喜ぶ姉妹だが、再婚相手のマルコム(ジャック・ブラック)が、売れない画家でおまけにマザコンで粗野な男であることを知ったマーゴットは、結婚に露骨に不快感を表すようになる。
わがままで、冷たくて傲慢、それでいて妙な正義感があるマーゴットは、周りとの摩擦が絶えない。
息子はアスペルガー症候群でおたくっぽい。
夫ジム(ジョン・タトゥーロ)とは冷え切っていて、おまけに不倫相手の小説家(キーラン・ハインズ)ともぶつかってしまう。
隣の住人は変人一家で、木を切るように迫ったり、ゴミを投げ入れたり、子供を虐待したり、かなり危ない。」
そうしたことを見兼ねたマーゴットは、隣に関わろうとするが、隣との間に波風を立てて欲しくないポーリンたちにとって、マーゴットの行動は迷惑なのだ。
子供の頃、木登りが得意だったマーゴットは、妹に木に登るように促され、登ったはいいが降りてこれず、はしご車の世話になる。負けず嫌いで先のことを考えないマーゴットらしい事件を起こす。
マーゴットとポーリンには、疎遠になっている姉妹がひとりいるらしいが、詳しくは語られない。またマーゴットには、ジョシュという息子もいて、その子の説明もない。詳しく知らされないことで、観ている方は落ち着かない気持ちになる。
うまくいっていない人間関係の中で生きていくという誰もが経験しそうなシチュエーションで、物語は進む。ちょっと紗がかかった映像で、そうしたモヤモヤ感を演出しているようだ。
筋らしい筋がなく、マーゴットの周りで起こるゴタゴタで物語は進むけれど、最後には、気まぐれな彼女らしいやり方で、息子に対して親愛の情を見せる。
邦題の『マーゴット ウェディング』は乱暴だね。→人気ブログランキング