少年と自転車
ベルギーのダルデンヌ兄弟が、日本で開催された少年犯罪のシンポジウムからヒントを得て作ったといわれる作品。
主人公の少年役は、オーディションで100人の中から選ばれたというトマ・ドレ。少年の里親役サマンサは『ヒア アフター』(2010年)のaセシル・ドゥ・フランス、少年の父親は『約束の葡萄畑 あるワイン醸造家の物語』 (2009年)のジェレミー・レニエが演じている。
本作品は、カンヌ国際映画祭 審査委員特別グランプリ受賞を受賞している。
少年と自転車 Le gamin au vélo 監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ 脚本:ジャン=ピエール・ダルデンヌ/リュック・ダルデンヌ 製作総指揮:デルフィーヌ・トムソン 製作国:ベルギー フランス イタリア 2011年 87分 |
父親がシリルを児童養護施設に預けて行方不明になった。
シリルは父親が自分を捨てるはずがないと信じて、父親を必死に探す。
シリルが学校から抜け出して父親を探しているときに、追ってきた教師に捕まりそうになり女性の後に身を隠した。彼をかばってくれた女性は美容師のサマンサだった。
シリルは、自転車を取り戻してくれたサマンサに、週末だけの里親になってくれるよう願い出る。
こうしてシリルとサマンサの生活が始まる。
少年が唐突に里親になって欲しいと女性に申し出るところは、フランスらしい。週末だけの里親は、フランスならではの柔軟な結婚観や親子関係によるのかもしれない。
週末だけ里親になったサマンサはシリルの父親の職場を突き止め、ふたりで会いに出かける。父親はレストランの厨房で働いていた。
父親は子供がいると雇い主に嫌がられるので、シリルを置き去りにして姿を消したという。週末には電話をするとシリルに答えた父親だが、サマンサにはもうシリルに会わないという。父親は金を作るためにシリルの大事な自転車も売ったのだ。
麻薬の売人の若い男が、シリルのブルドッグのような性格を買って、強盗の話を持ちかける。シリルは売人の台本どおりにバットを振り回し強盗を働き、金を手にする。そして、分け前の金を持って父親のところに行くが、父親は金を受け取らず、もう来るなとシリルを拒絶するのだった。こうしてシリルは父親から完全に見放されたことを知る。
必死にシリルの面倒をみるサマンサの変わりように恋人は、自分とシリルのどちらを取るのかとサマンサに迫る。彼女はシリルを取るのだった。
シリルにとって縛られるよりは自由がいい。しかし、自由を選べばサマンサを裏切ることになる。サマンサはシリルが無謀な行動に走っても見放さなかった。愛情を求めるシリルに、サマンサは母性愛で応えた。
そしてシリルはサマンサに週末だけでなく、本当の里親になってほしいと願う。サマンサは承諾するのだった。
父親に拒絶されたシリルの張り裂けんばかりの切ない気持ちと、それを包み込むサマンサの母性愛が画面から伝わってくる、心が温まる一本。→人気ブログランキング
【セシル・ド・フランス出演作品】
『少年と自転車』(12年)
『ヒアアフター』(10年)
『シスタースマイル ドミニクの歌』(09年)
『ある秘密 ~愛に焦がれて~』(07年)
『モンテーニュー通りのカフェ』(06年)
『スパニッシュアパートメント』(02年)
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