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2013年3月21日 (木)

フグが食いたい! 塩田 丸男

無類のフグ好きの著者による「フグ礼賛」の書。
なぜフグは「河豚」と書くのか。中国では、河にフグが生息しているからだという。
フグを食べる民族は、日本と朝鮮と中国の一部だけである。
日本人は、縄文時代からフグを食べていた。有史以来フグの毒でどれだけの人が亡くなったのだろう。昭和30年代には毎年100余の人が亡くなっている。かつてフグを食べて亡くなった相撲取りや歌舞伎役者、釣り人たちが、新聞に載ったことがあった。
養殖のフグは毒が少ないとのこと、だから最近はほとんど当たらないそうだ。
Image_20201124101301フグが食いたい!―死ぬほどうまい至福の食べ方
塩田 丸男
講談社プラスアルファ新書
2003年

次の3つの句に、江戸時代の人のフグに対する思いが絶妙に表現されている。
河豚汁や鯛もあるのに無分別(芭蕉)
鰒(ふぐ)食はぬ奴には見せな不二の山(一茶)
ふく汁のようなものだと妾を見


江戸時代、武士はフグを食べることを禁じられていた。武士の身分の芭蕉には、フグ食いは無分別と映ったのだ。
一方、一茶はフグを食べようとしない勇気のない者に、富士山を見せるなといっている。文化人ではあるものの、一茶は士農工商のどれにも属していない、いわゆる遊民であった。芭蕉の立ち位置とは違う。一茶には、武士を疎ましく思うようなところがあったのではないか。また、一茶の生きた時代は、芭蕉から約100年下っているから、調理法は進化したはずだ。
妾を持つと命取りになるかもしれないというのは、今も状況は変わらない。
ちなみにフグは冬の季語である。

フグは話題にことかかない魚だから、博識でユーモアのある著者によって、面白い本ができた(2003/10/5)。→人気ブログランキング

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