女と銃と荒野の麺屋
コーエン兄弟の処女作『ブラッド・シンプル』(1985年)のリメイク版。
荒野にぽつんと店主ワンの中華麺店がある。中華麺店には、リーと大柄なジャオ、小柄な女のチェンの3人が住み込みで働いている。
![]() A Woman, a Gun and a Noodle Shop 監督:チャン・イーモウ 脚本:シュウ・チェンチャオ、シー・チエンチュアン 音楽:チャオ・リン 製作国:中国 2011年 90分 |
強欲なワンは、従業員の給料を払わず私腹を肥やすような男である。
ワンは10年前に金で買った妻(ヤン・ニー)を虐待し、その妻は気の小さいリーと不倫をしている。
ある日、妻はペルシャからきた行商人から拳銃を購入する。
もうちょっと破壊力がある大砲もあると言って、その行商人がぶっ放した大砲は荒野めがけて飛んで行き、爆発音を轟かせた。
その音を聞きつけて警察隊が大挙してやってきて、ワンの店に入る。
ここで、リーとジャオとチェンが、警察隊員に振舞う麺を作り始める。
ピザを作るように指でくるくる生地を回すパフォーマンスを見せたあと、きしめんのように幅広く切った麺を茹でて丼に入れ、唐辛子をのせ、その上から煮えたぎった油をかけて出来上がり。警察隊員たちはそれをうまそうに食べた。
麺屋らしい場面はここだけである。
ワンから賄賂を受け取った副隊長のチャン(スン・ホンレイ)は、銃と不倫のことをワンに密告する。妻と従業員の裏切りに激昂したワンは、チャンにふたりの殺害を依頼する。
樹木一本生えていない赤茶けた荒野、漆黒の闇に叢雲から顔を出す月の冷たい光、そして麺屋が交互に映し出され、シュルな映像のなかに、殺人ゲームが展開する。
強欲で残忍でゾンビのような死にぞこないの店主、死の恐怖におののくコケティッシュな妻、あくまで臆病な間男、大柄な男と小柄な女のコミカルな使用人コンビ、そして金に目が眩んだ冷徹な殺人鬼が織り成す、B級度満点の楽しさを味わわせてくれる作品である。→人気ブログランキング
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