汚れなき情事
全寮制の女学校という閉ざされた空間のなかで、女生徒たちは若い女教師を崇拝していた。そこに、外国から裕福な転校生がやってきて、それまでの調和が破綻する。それが原題の「Cracks」。女性徒たちが起こした行動に対し、女教師が選択したのは、もとの秩序を取り戻すことだった。
汚れなき情事 Cracks 監督:ジョーダン・スコット 脚本:ジョーダン・スコット/ベン・コート/キャロライン・エルピー 原作:シーラ・コーラー 音楽:ジャヴィエール・ナヴァレッテ イギリス アイルランド 2009年 104分 |
19934年、イングランドの田舎町、湖のほとりに全寮制女学校がある。
女生徒たちのあこがれの的は、若くて美しく都会的な女教師ミスG(エヴァ・グリーン)。ミスGは、派手な服装に身を包み、装飾品を身につけ、ケバいメークで、授業中にタバコを吸う特別の存在である。過去に不祥事を起こしている彼女を、上司は冷ややかな目で見ている。
ミスGが顧問をしているダイビング・チームのリーダー・ダイは彼女に心酔しきっている。
そこに、スペインから金持ちの美少女フィアマ(マリア・バルベルデ)が転校してきてチームに加わる。フィアマは喘息を患っていて、吸入器を肌身離さず持っているというのに、なぜかダイビングチームに入る。
メンバーは、ミスGの気まぐれで、夜中の2時に突然練習を強いられることもある。それでもメンバーはミスGに従うのだ。
フィアマは、チームで一番上手いダイよりも、はるかにダイビングが上手かった。ミスGの視線が次第にフィアマに注がれるようになり、ダイは嫉妬するが、ダイ自身もフィアマにあこがれを持つ。
やがて、ミスGはファアマを特別扱いするようになる。
そんなある夜、メンバーが秘密のパティーを開き、ファアマは飲みすぎてしまう。ミスGはファアマを自らの部屋に連れていき、介抱する振りをして性的に迫るのだった。
ミスGの正体を知ったファアマは彼女を罵り避けるようになる。
しかし、メンバーはフィアマに先生を奪われたと思うのだった。
そして、メンバーの嫉妬と怒りはファアマに向けられ、ストーリーは結末に向かう。
エヴァ・グリーンが演じるミスGは、大きな目といい肉感的な唇といい、『マドモアゼル』(1966年)でジャンヌ・モローが演じた主人公を彷彿とさせる。役柄もどこか共通するものがある。ふたりともフランス人だ。
女だけの閉ざされた世界が描かれると、ストーリーは陰鬱になりがちであるが、ミスGの役柄にコメディ的な要素を加えることで、陰鬱になることをうまく回避している。
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