UDON
1980年代に始まり2000年代初めまで続いた、讃岐うどんブームを題材にしたヒューマンドラマである。ブームの仕掛け人である『月刊タウン情報かがわ』の編集長をモデルにして、本作は作られている。
UDON 監督:本広克行 脚本:戸田山雅司 音楽:渡辺俊幸 主題歌:闘牛士(「カルメン」第1組曲より) 日本 2006年 134分 |
6年前、松井香助(ユースケ・サンタマリア)は「ここには夢がない、あるのはうどんだけだ」と言って、故郷を捨てニューヨークに渡った。しかしコメディアンになる夢が敗れ、香川にもどってくる。友人たち(トータス松本)は暖かく迎えるものの、父親は香助に対して冷たい。
友人の紹介で香助が入社したのは、ヒロインの恭子(小西真奈美)が記者として勤めるタウン誌出版社。香助が思いついたのは、讃岐うどん店の特集を組むというもの。
ちなみに、冒頭で「日本一人口の少ない香川県の人口は100万人、そこに讃岐うどんの店は900ある。一方、1250万人の東京にマクドナルドは500店舗」と紹介されている。
取材は、車が一台しか通らない道を行ってやっとたどり着くようなところばかり。小屋のよう店、看板のない店、入らなければうどんを食べさせるとわからない店、さらに食器持参の店、ネギを客が裏庭から調達する店、天ぷらの具材持ち込みOKの店、ビニール袋に入れた茹でたうどんをテイクアウトできる店など、ユニークな店ばかり。
こうして、香助たちのタウン誌が火付け役になって、讃岐うどんブームが起こる。
マスコミも黙っていない。モーニングショーで讃岐うどんが取り上げられ、昼のワイドショーでも特集が組まれ、有名タレントの香川うどん店行脚の番組が企画され、讃岐うどんカルトクイズの番組が放映され、讃岐うどんフェスティバルが行われ、空前のうどんブームが巻き起こる。香川には全国から客が押し寄せるようになる。
このあたりのストーリーは、讃岐うどんブームで実際に起こったことである。当時放映されたと思われるテレビ番組が差し込まれいて、リアリティーが出ている。
しかし、ブームが去れば、祭のあとの静けさとなる。
タウン誌の規模は縮小され、やがて香助は出版社を辞める。
香助が松井うどん店の後を継ぐ決意し父親に打ち明けると、父親は心筋梗塞でぽっくり逝ってしまう。
これで、松井うどん店も終わりと残された者が思っていたところ、「しばらく休業します」の張り紙に多くの励ましの言葉が書き込まる。
それに勇気づけられた香助は、店を再開しようと姉夫婦(鈴木京香、小日向文世)とともに、父親のうどんの味を再現しようとする。
そして、父の四十九日に、父親の味に近づいたうどんを客に提供するのだった。
ところで、冒頭のエピグラム「笑いは消化を助ける 胃酸よりはるかによく効く」(イマニエル・カント)はいまいち。最後の「涙とともにパンを食べた人間でなければ 人生の味はわからない」(ヨハン・ヴォルフ・ガングフォン・ゲーテ )は説得力がある。→人気ブログランキング
【料理に関係する映画】(サイト内リンク)
『シェフ! ~三つ星レストランの舞台裏にようこそ~』(12年)
『洋菓子店 コアンドル』(11年)
『エル・ブリの秘密 世界一予約の取れないレストラン』(11年)
『再会の食卓』(10年)
『食堂かたつむり』(10年)
『女と銃と荒野の麺屋』(09年)
『ジュリー&ジュリア』(09年)
『ミラノ、愛に生きる』(09年)
『幸せのレシピ』(07年)
『UDON』(06年)
『サイドウェイ』(04年)
『フライド・グリーン・トマト』(91年)
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