アメリカ、家族のいる風景
初老のカウボーイ俳優が、ふと自分の人生はなんだったのか思う。そして、言いようのない寂しさと不安に苛まれ、何年も連絡をとっていない母親のもとを訪れる。自らに子供がいると母親から知らされた男は、家族を探しに出かけていく。家族愛に目覚めていく男が、アメリカの原風景の中に描かれている。アメリカの原風景とは、ニューヨークやロサンゼルスなどの大都市ではなく、赤茶けた地面に真っ青な空、そして埃っぽい、そんなのんびりした田舎町のことである。
アメリカ、家族のいる風景 Don't Come Knocking 監督:ヴィム・ヴェンダース 脚本:サム・シェパード 音楽:T・ボーン・バーネット アメリカ ドイツ フランス 2005年 124分 |
かつてはカウボーイ俳優として鳴らしたハワード・スペンスは、アルコールだクスリだ女だケンカだと、勝手気ままに暮らしてきた。そんなハワードは、突然ロケ現場のユタ州モアブからカウボーイ姿のまま馬に乗って行方不明になった。
今までもハワードが姿を消したことがあったので、監督もスタッフもそのうち戻ってくるだろうと高をくくっていた。ところが今回は違った。彼が向かったところは、30年もの間連絡をとっていないネバダの母親のもとだった。
母は突然の帰郷した息子を温かくむかえる。
彼女はハワードに、20数年前に若い女性からハワードの子供を身ごもったとの電話があったと衝撃の事実を伝える。子供の存在を知ったハワードは、いても立ってもいられなくなり、亡くなった父親のボロ車でモンタナ州ビュートへ向かった。
彼は、かつてロケ中に関係を持ったウェイトレスのドリーン(ジェシカ・ラング)を訪ねる。ドリーンは、はじめは今更なんだと取り付く島はがなかったが、やがてバーで歌っているアール(ガブリエル・マン)が、ハワードの息子であることを告げる。
一方、アールは突然現れた父親に戸惑う。
そんなアールを、骨壷を持った女性スカイ(サラ・ポーリー)が訪ねてくる。このスカイもハワードの娘だった。スカイは父親のハワードに会って感激するが、アールは冷静さを失い恋人のアンバー(フェアルーザ・バーク)と喧嘩をしてしまう。娘は父親を簡単に受け入れるが、息子はそうはいかない。娘と息子のの父親に対する思いの違いが、映し出されている。
ハワードはドリーンに結婚を申し込むが、何を今さら調子のいいことをと拒絶される。
とりあえず家族に会えたから、これからは今までとは違うと、仕事場のモアブへと戻っていくハワードは、ロケ現場を逃走した時とは異なるハツラツとした表情になったように見える。→人気ブログランキング
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