裏窓
カメラマンのジェフ(ジェームズ・スチュアート)は、脚の骨折でアパートの中での車椅子生活を余儀なくされている。彼の気晴らしは窓から見える隣のアパートの住人たちを覗き見すること。窓から外を見ると、まさにそれは小宇宙、隣のアパートが丸見えなのだ。
裏窓 Rear Window 監督:アルフレッド・ヒッチコック 脚本:ジョン・マイケル・ヘイズ 原作:ウィリアム・アイリッシュ 音楽:フランツ・ワックスマン アメリカ 1955年 112分 |
部屋からは、新婚ほやほやの夫婦、レッスンに余念がないセクシーなバレリーナ、男を追い求める孤独な未亡人、ピアノを弾く音楽家が見える。多くの作品でどこかに姿を見せるヒッチコック監督は、本作ではピアニストの部屋で時計のネジを巻いている。
問題は夫が粗野で、口論が耐えないセールスマンの夫婦である。
ある日、セールスマンの妻の姿が見えなり、ジェフは夫が殺害したのではないかとの疑惑を抱く。
看護婦のステラ(セルマ・リッター)も恋人のリザ(グレース・ケリー)も、覗き見はモラルに反すると思っている。肉眼ならまだしも双眼鏡や望遠レンズを使って盗み見することは、犯罪だと言う。はじめはジェフの妄想と取り合わなかったふたりだが、彼が次々に挙げる状況証拠に殺人の疑惑を抱くようになる。そうなるとモラルもなにもあったものではなく、ジェフは双眼鏡や望遠レンズを駆使して四六時中覗くことになる。もちろんふたりも興味津々で、話題はもっぱらセールスマン風夫婦のこと。
この覗きも殺人の疑惑もどんどんとエスカレートしていくところが本作の見所。
ジェフは友人の警官に捜査を依頼するが、証拠がないとまともに取り合ってもらえない。警察が動かないなら自分たちで証拠をつかもうと、リザはセールスマン風の部屋にしのびこもうとするのだった。
画面に映るのは、部屋から見える隣のアパートで起こっていることと、部屋で繰り広げられるジェフとリザやステラや警官とのやり取りだけである。まるで舞台劇のように計算された画面が組み合わされてストーリーが進んでいく。
本作は、第27回アカデミー賞の監督賞、脚本賞、撮影賞(カラー部門)、録音賞にノミネートされた。
本作は、アメリカン・フィルム・インスティチュート (American Film Institute, AFI)が選ぶ「アメリカ映画ベスト100」の42位である。 →人気ブログランキング
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