パルプ・フィクション
三つの話が別に別に進み、最後のシークエンスで最初の場面に戻り、ストーリーがつながるという構成になっている。
レストランで、チンピラの男女が突如銃をかざして怒号をあげたところで画面はストップし、そこからクレジットが流れる。
パルプ・フィクション Pulp Fiction 監督:クエンティン・タランティーノ 脚本:クエンティン・タランティーノ 原案:クエンティン・タランティーノ/ロジャー・エイヴァリー 音楽:カリン・ラクトマン アメリカ 1994年 154分 |
場面は変わって、黒づくめの殺し屋ヴィンセント(ジョン・トラボルタ)とジュールス(サミュエル・ジャクソン)が、アメリカンジョーク満載のマシンガントークを交わしながら、組織を裏切った男たちの隠れ家に向かっている。ジョン・トラボルタは、ギャング役が板についたようにピッタリはまっている。
話の内容は、アムステルダムの麻薬事情、最近コカインよりもヘロインが流行っていること、ボスの妻の足をマッサージした男が4階から突き落とされ失語症になった話。これらはその後に起こるストーリーを暗示している。
ふたりは仕事をつつがなくこなし、つまり裏切り者を殺し、金塊の入ったカバンを取り返して帰路につく。
【ボスの妻とのデート】愛妻家のボス・マーセルスから妻のミア(ユマ・サーマン)のお守りを頼まれたヴィンセントは、どうしたものかと思いあぐねて、とりあえず売人からヘロインを手に入れる。ミアの望み通り、有名女優のそっくりさんがいるレストランに出かけ、食事をする。レストランで、急遽開かれたダンス大会に出たふたりは優勝してしまう。ヴィンセントの『サタデイ・ナイト・フィーバー』ばりの踊りが見もの。ふたりは意気揚々と屋敷に戻ってくるが、ミアがヘロインの過剰摂取で心停止となり、ヴィンセントは慌ててミアを売人のところに運ぶ。
【ボクサーの逃避行】落ち目のボクサーのブッチ(ブルース・ウィルス)は試合で八百長負けするはずが、相手をノックアウトして勝ってしまい、マーセルスに捕まることを恐れ街を出ようとする。ところが恋人はブッチが大切にしている祖祖父から受け継いだ金時計をアパート置き忘れてくる。金時計を取りにアパートに舞い戻るが、交差点を渡るマーセルスに出くわす。マーセルスに追いかけられてブッチが逃げ込んだ銃砲店でふたりは監禁され、ホモ男たちに犯されそうになる。
【車のなかの死体の処理】話は前に戻り、ひと仕事を終えたヴィンセントとジュールスが車で帰るとき、後部席に乗せたジュールスの知合いの男をヴィンセントが誤って銃で頭を撃ち抜いてしまう。車の中が、骨と脳みそと血だらけになり、仲間のジミー ( クエンティン・タランティーノ)のガレージでどうにかしようとする。恐妻家のジミーは看護師である妻のボニーが、夜勤明けで帰ってくるまでになんとかしてくれないと、離婚されてしまうと騒ぐ。
そこに、マーセルスが派遣した始末屋のウルフがやってくる。
車の中を清掃しとりあえず市中を走れる状態にする前に、ウルフのマッシブなトークに、殺し屋ふたりもジミーも観ている者もイライラさせられる。
場面は初めのレストランに戻って、血だらけの黒服をジミーから借りたTシャツとバミューダーパンツに着替えたヴィンセントとジュールスが、レストランで朝食を摂りながら話をしている。ジュールスはいまの稼業から足を洗うと言う。そして、ヴィンセントがトイレに入ったあと、チンピラの男女が銃を振りかざし、大声をあげ始める。
女性に対しては、マールセルにしてもブッチにしても、ジミーにしても、愛妻家だったり、恐妻家だったりする。
こういう映画でありがちな、女が男に虐待される場面は出てこない。監督は多分マザコンなんだろうな。
悲惨な殺しが次々に起こるが、タランティーノ監督が仕掛けているのは下っだらない話(プルプ・フィクション)のコメディである。→人気ブログランキング
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