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『エコー・パーク』マイクル・コナリー

深夜、ロサンジェルスのエコー・パークの近くで、車に女性のバラバラ死体を積んでいる男が逮捕された。その殺人犯レイナード・ウェイツの弁護士から、検事に司法取引の手紙が届く。取引の内容は、レイナードが手を下した9件の殺人事件を自供する替わりに、死刑ではなく終身刑にするというもの。被害者のなかには、13年前にボッシュが担当した未解決のマリー・ゲスト事件も含まれていた。
ボッシュがゲスト事件のファイルを見直すと、そこには犯人と思われる人物からの接触があったと記載されていた。
当時、ボッシュはそのことについて知らなかった。犯人からの接触を調べていれば、犯人を逮捕できたかもしれない。その後に起こった8件の殺人事件も起こらなかったかもしれないと、ボッシュは自責の念にかられる。

おりしも地区検事局長の選挙を控えており、候補のリック・オシェイ検事はマスコミに名を売り知名度を上げたがっている。警察当局は、レイナードがゲストの遺体が埋められているところに案内するという申し出にOKを出した。

エコー・パーク(上) (講談社文庫)
マイクル・コナリー(古沢嘉通 訳)
2010年4月
★★★★*
エコー・パーク(下) (講談社文庫)
マイクル・コナリー
講談社
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現場に着き、崖の下で死体が遺棄された場所を確認したあと、レイナードは警官から銃を奪い、ふたりの警官を射殺し、ボッシュのパートナーであるキズにも重傷を負わせた。十分に警戒してしていたはずなのに、レイナードは逃走してしまう。

ニュースは、現場にいたオシェイ検事にとって不利な映像が削除されていた。警官がふたり殺されひとりが重症になり、容疑者に逃げられるという失態を、ボッシュのせいにしようとする工作が行なわれた。
ボッシュは、親密な関係にあるFBI捜査官のレイチェルの協力をえて、独自の推理でレイナードの行方を追っていく。
後半にはミステリの醍醐味であるキレのある展開が待ち受けている。

Photo

ハリー・ボッシュの本名はヒエロムニス・ボッシュ。この名前は、『快楽の園』などの謎に満ちたシュルレアリスムを彷彿させる絵を描いたルネッサンス期のオランダの画家からとったもの。ボッシュには社会を斜で見るようなところがあり、この一風変わった画家に通じる。

ボッシュがレイチェルと自宅でくつろぐときに流した曲は、1957年カーネギー・ホールでのジョン・コルトレーンとセロニアス・モンクの共演したもの。そのテープは箱に入って50年近く放置されていたところ、図書館の職員が偶然に発見したというお宝もの。こんなエピソードから、著者のジャズ好きが伝わってくる。

→【2016.01.14】プラド美術館展@三菱一号館

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