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任侠ヘルパー

パンチパーマに太い眉、鋭い眼光で睨みをきかせ、肩で風を切り、べらんめえ口調で話す、勝ち目のない喧嘩でも独りで向かっていく、草彅剛は無鉄砲なヤクザの翼彦一を演じている。いくぶん華奢な身体つきなので、パンチパーマで一回り大きくなった頭とのバランスが奇妙でどことなく可笑しい。
『任侠ヘルパー』という虚をつくタイトルがいい。
Image_20210215204501任侠ヘルパー

監督:西谷弘
脚本:池上純哉
音楽:高見優/主題歌 LOVE PSYCHEDELICO「Beautiful World」
日本 2012年 

1

暴力団「隼会」を抜けカタギのコンビニ店員として働く彦一は、強盗を幇助した罪で刑務所に送られ、その強盗・蔦井(堺正章)と再会する。蔦井はかつて「極鵬会」のナンバー2だったが、跡目争いに嫌気がさして東京に出てきたものの食い詰め、強盗に至った。蔦井は刑務所の中で亡くなる。
足を洗った彦一には出所しても落ち着くあてがなく、結局、蔦井のツテを頼って「極鵬会」の組長(宇崎竜童)を訪ね、ヤクザに舞い戻ってしまう。
彦一に与えられた仕事は、ヤミ金融で老人たちにローンを組ませ破産に追い込み、年金や生活保護費をせしめ、さらに彼らを介護施設「うみねこの家」に送り込み、そこでも金を搾り取るというアコギな貧困ビジネスである。

一方、二世市議会議員の八代照生(香川照之)は、暴力団の排除と福祉施設の誘致を公約に掲げている。「極鵬会」は八代を快く思っておらず、どうにかして陥れようとしていた。

2

蔦井の娘葉子(成井和美)は認知症の母親(草村礼子)と幼い姉弟を抱え、苦しい生活を送っていた。葉子はヤクザの娘であることに負い目を感じてきた。
葉子と高校時代に付き合いがあった八代の口利きで、母親は介護施設に入所することができた。
しかし、介護施設の母親に対する扱いに腹を立てた葉子は、強引に母親を施設から連れ出したはいいが行くあてがない。結局、劣悪介護施設の「うみねこの家」に入所することになる。

3

「うみねこの家」は悪臭が漂う劣悪な環境で、老人たちはほったらかされていた。彦一は最初はアコギな仕事を淡々とこなしていたが、老人を食い物にしていることに疑問を感じ始め、「お前ら見捨てるほど落ちちゃいねーよ」と、本作のキャッチフレーズ通り、「うみねこの家」の立て直しを決意する。彦一の気持ちにスイッチを入れたのは、彼が恋慕する葉子の息子の彼を頼りにする行動だった。
彦一のアイデアは、老人たちに自分のことは自分でさせる参加型介護。その目論見はうまくいって、老人たちは生き生きして、施設は活気があふれていく。「うみねこの家」は、彦一の舎弟(風間俊介)やキャバ嬢(夏帆)も手伝い、さながらヒッピーのコミューンの様相を呈していく。
介護の現場はこのような甘いものではないが、コミューンのように和気あいあいと平和でありたいという願望として理解したい。

彦一のやり方を快く思わない極鵬会は何かと嫌がらせをする。それに彦一は体を張って立ち向かっていく。一方、違法な貧困ビジネスを取り締まろうとする八代も彦一の前に立ちはだかる。
やがて、共通の敵である「極鵬会」と対峙することで、彦一と八代の間には連帯感が生まれ、葉子との三角関係の様相を呈し、さらに彦一の危機一髪の場面に現れた「隼会」の若頭(黒木メイサ)も絡んで、続編につながる余韻を残しつつ映画は終わる。
介護の現実とはかけ離れているが、エンターテイメントとしては一級品である。→人気ブログランキング

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