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2013年9月29日 (日)

現代アート、超入門! 藤田令伊

普通のサラリーマンからアートライターに転身した著者は、現代アートはわかりにくいうえに、入門書は輪をかけてわかりにくいと嘆く。それなら、いっそのこと自らが、フツーの人の目線でフツーの人がわかるような現代アートの入門書を書こうと思い立った。本書はそうした著者の意図が見事に成功している名著である。
Photo_20210112080501現代アート、超入門!
藤田 令伊
集英社新書
2009年

 

現代アートは、〈20世紀以降に生まれた、技術と都市に関係の深いアート〉とザックリと理解すればいいという。現代アートは必ずしも美しくない、必ずしも感動させるものではない。ルネッサンス以降のクラシカルアートとはそこが決定的に違うという。

本書は12の章に分かれていて、各章に主題となる作品が提示され、それについて読者にどう感じるかが問いかけられ、著者の考えが説明される。そのあとその作品周辺について解説が加えられる構成になっている。
問いかけは次のようなものである。「興味をいだけるか否か?」「美しいと思うか否か?」「わかるか、わからないか?」「アートと思うか、思わないか?」というきわどい問いも投げかけられる。さらに「値打ちを感じるか否か?」、究極は「許せるか、許せないか?」という問いまで飛び出す。現代アートはタブーさせ超えてしまっている。

各章には【現代アートの水脈をたどる】という項目があって、そこでは提示された作品を中心に、その時代のアートの歴史が書かれている。

現代アートにどう向き合えばよいかについて、次のように書いている。アートの境界は曖昧なもの、あり方も多彩なものになっている。そんな状況下にあっては、もはやどれが優れていて、どれが劣っているとする万人に共通の価値判断など存在しない。選択や評価はすべて自己責任、アートとの付き合い方は自分自身で開拓するするほかはないという。
本書を一読すれば、著者の意図したとおり、〈現代アートの大まかな流れと全体像がわかった気になれる〉こと請け合いである。本書は迷える現代アート初心者を導いてくれる福音の書である。

著者はクラシックアートにも造詣が深く、特にフェルメールには耽溺していると言っても過言ではないと書いている。著書に、これまた名著の『フェルメール-静けさの謎を解く』(集英社新書/2011年)もある。→人気ブログランキング

現代アート経済学』宮津大輔(2014年)
キュレーション 知と感性を揺さぶる力』長谷川祐子(2013年)
現代アートを買おう!』宮津 大輔 (2010年)
現代アート、超入門!』藤田令伊(2009年)
セゾン現代美術館

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