ジャンゴ 繋がれざる者
本作は、第85回アカデミー賞で作品賞ほか5部門にノミネートされ、クエンティン・タランティーノ監督が脚本賞を、クリストフ・ヴァルツが助演男優賞を獲得した。
![]() Django Unchained 監督:クエンティン・タランティーノ 脚本:クエンティン・タランティーノ アメリカ 165分 2012年 |
1859年、アメリカ南部。
ドイツ人の移動歯科医のキング・シュルツ(クリストフ・ヴァルツ)は奴隷業者からジャンゴ(ジェイミー・フォックス)を買い、自由人とした。キングは賞金がかけられた3人の首実検のためにジャンゴが必要だった。
ジャンゴの度胸の良さと銃の腕前に惚れ込んだキングは、ふたりで賞金稼ぎをしようと持ちかける。腕を磨いたジャンゴは南部一の銃の使い手となり、こうして異色の黒人ガンマンが誕生する。
ジャンゴの望みは、奴隷市場で生き別れになった妻ブルームヒルダ(ケリー・ワシントン)を探し出すこと。
ふたりは冬の間に賞金をがっぽり稼ぎ、春になったら動き出す予定。
ちなみにDjangoの「D」はサイレントと、ジャンゴがつぶやく場面がある。相手が銃を撃ちまくり「ジャンゴ、もうおしまいだぞ」と叫んだときに、反撃に出て口にしたフレーズだ。
ブルームヒルダは、カルヴィン・キャンディ(レオナルド・ディカプリオ)が経営する農園にいた。カルヴィンは奴隷を格闘士として闘わせ、敗者をなぶりものにして楽しんでいるような非道な悪人。
キングとジャンゴは、最強の格闘士をカルヴィンに売り込むという作り話をでっち上げ、カルヴィンに近づいていく。
カルヴィンの右腕・奴隷頭のスティーヴンに扮するのは、タランティーノ映画の常連、サミエル・ジャクソン。スティーヴンの目つきの微妙な変化が、ことの成り行きを暗示している。
本作ではドイツが伏線となっている。ドイツ人であるキングは人種差別をしないから黒人のガンマンが誕生した。ブルームヒルダは前の奴隷主からドイツ語を習った。キングとブルームヒルダのドイツ語の会話から、スティーヴンはキングたちの企てにほころびを見出す。
時代考証がなっていない、黒人を蔑視している、差別用語が使われている、凄惨な銃撃シーンがスクールシューティングを誘発する、血が流れすぎだなど、なにやかにやと批判の声が上がっているが、上質のマカロニウエスタンに仕上がっているのは間違いない。→人気ブログランキング
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