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紀子の食卓

子どもが何を考えているのか、親たちも社会も皆目わからない時代である。現実を逃避をする子どもたちは、電子機器の向こうのヴァーチャルワールドに居場所を求める。そこは自分の思い通りのキャラクターを演じることができる、彼らにとって居心地のいい空間である。演じる自分と本来の自分の区別がつかなくなり、バーチャルワールドにマイインドコントロールされた女子高生たちが、本作の主人公である。
Photo_20210202141001紀子の食卓
監督:園 子温
脚本:園 子温
日本  2006年 159分  

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豊中市に住む主人公の島原紀子(吹石一恵)は17歳の女子高生、父・徹三(光石研)、母・妙子、妹・ユカ(吉高由里子)の4人家族。
紀子は東京の大学に進学したいが、父親は地元の大学にしろという。女が東京の大学にいくと妊娠すると思っているふしがある。
そんななかで、家族との人間関係にしっくりしないものを感じる紀子は、悶々とする日々を送っていた。ある日、紀子が「廃墟ドットコム」にハンドルネーム〈ミツコ〉でアクセスすると、そこには閉塞した日常から開放される別世界が広がっていた。

そして、紀子は「廃墟ドットコム」で知り合った〈上野54〉に会うために、やがてクリスマスになろうとする頃、家出をして東京に向かった。〈上野54〉ことクミコ(つぐみ)は「レンタル家族」業を営んでいた。紀子はミツコとしてレンタル家族の一員に加わることにした。ミツコとして娘を演じることで、自分と向き合い本物の家族のあるべき姿を感じとることができるように思えた。

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そんなおり、新宿駅8番ホームから54人の女子高生が一斉に線路に飛び込む集団自殺事件が起きる。この事件のあと若者たちの不可解な集団自殺事件が次々と起きる。
妹のユカは、この事件の手がかりを「廃墟ドットコム」の中に発見し、集団自殺事件の次の日、ユカまでもが紀子を探しに家出してしまう。

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「レンタル家族」とはどのようなものか? たとえば独居老人が誕生日に家族をレンタルしたとすると、息子夫婦役と孫役が老人宅を訪れ、誕生日を祝ってくれる。
あるいは、バツイチの中年男が娘2人をレンタルしたとすると、父親を囲んでおでんを摘まむ仲睦まじい夕餉のあと、予約の時間がきれても馴れ馴れしくする客に、「るっせんだよ、オヤジ、バカじゃねえか。時間は終わったんだよ。延長しねんだったら馴れ馴れしくするな」と豹変して、そくさくと娘たちは客の家を後にする。それでも馴れ馴れしくするケースでは、恐いお兄さんたちが出てきて、その男を叩きのめすこともある。

一方、父の徹三は、紀子が家出したことをきっかけに勤めていた地方新聞社を辞め、紀子の捜索に全精力を捧げるのだった。
ユカが失踪して2カ月後、妻が自殺してしまう。
家族を失った徹三だが、ついに「廃墟ドットコム」にたどり着いた。紀子もユカもレンタル家族に加わっていることを突き止めた徹三は、紀子とユカを娘としてレンタルすることを企てる。

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かつての島原家通りに家具を配置し、娘たちの部屋にはそれぞれの私物を、家出前の位置に置いた。そして、クミコを母親役、紀子とユカを娘役として、友人に指名させ、徹三自身はクローゼットの中に隠れて彼らの様子を伺うことにした。すき焼きをつまんで、家族団欒を取り戻す企てである。

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果たして徹三の思惑どおりに家族の絆を取り戻すことができるのか?
ストーリーは含みを残したまま終わる。

吹石一恵の演技はまあまあとして、父親役の光石研には鬼気迫るものがある。最後のシークエンスでは、本作でデビューを果たした吉高由里子のキラリとひかる演技が見られる。→人気ブログランキング

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