北北西に進路を取れ
タイトルの北北西の意味は、ニューヨークから見たシカゴのこと、あるいはノースウェスト航空を利用したのでこのタイトルになった。さらに『ハムレット』の第2幕「おれは北北西の風が吹くときに気違いになる。南風が吹くときは、鷹もサギもよく見えるよ」からとったなど、諸説あるとのこと。
サスペンスあり、スリルあり、謎解きあり、カーチェイスあり、恋愛あり、有名観光スポットでのアクションあり、のサービス精神満点な作品。名場面が随所に散りばめられた本作が、その後の作品に与えた影響は計り知れないと言われている。
![]() North by Northwest 監督:アルフレッド・ヒッチコック 脚本:アーネスト・レーマン 音楽:バーナード・ハーマン アメリカ 1959年 136分 |
広告代理業のロジャー(ケイリー・ブラント)は、ふたりの男にニューヨークのホテルから拉致され郊外の邸宅に連れていかれる。そこで待っていたタウンゼントと名乗る男は、ロジャーをジョージ・キャプランと呼ぶが、ロジャーはなんのことだかわからない。強引にウィスキーを飲まされ泥酔させられたロジャーは、自動車に乗せられ事故に見せかけ殺されそうになるが、危機一髪で逃れる。
ロジャーは、国連でタウンゼントに面会するが、そのタウンゼントは前に会った男と違う。目の前でそのタウンゼントが殺されてしまい、ロジャーは殺人の容疑者にされてしまう。
こうして、指名手配犯として警察に追われる身となったロジャーは、キャプランとは誰なのかを突き止めるべく、警察の目をから逃れながらニューヨークからシカゴに向かう。
そこでで出会ったのは、味方なのか敵なのかわからないイーブ・ケンドルと名のる謎の美女(エヴァ・マリー・セイント)。イーヴは偽タウンゼント、悪の親玉バンダムの手下だった。そんなことはお構いなしに、ふたりは情熱の夜を過ごす。かつての007シリーズでおなじみのパターンだ。
シカゴに着くとロジャーは郊外におびき出され、農薬を散布すプロペラ飛行機に追い回され、そこをまたまた危機一髪で逃れる。さらにサウス・ダコタ州のラシュモア山へと彼のキャプランを追う冒険は続く。
キャプランは、本物のスパイからバンダムの注意をそらすための架空のスパイだった。書くとややっこしいが、映画の中ではなるほどとうなずける設定だ。
いつの間にか味方同士になったロジャーとイーヴは、ラシュモア山のワシントンら大統領の顔が刻まれた岩壁を、敵から逃げる。FBIと警官隊がロジャーたちを救い、悪人たちは岩肌から墜落していった。
そして、ロジャーとイーヴは列車でいちゃつきながらニューヨークへ向かう。これも、ショーン・コネリー時代の「007シリーズ」によく見られるシーンだ。
「この場面はあの作品のあそこで使われていたな」などと思いながら見る本作は、「一粒で何度もおいしい」エンターテイメント映画の教科書である。
1950年代60年代は、ミステリーものは作品として格下と見られていたという。1959年のアカデミー賞では本作は脚本賞と編集賞のノミネートされているが、賞はとっていない。オスカーをとった作品は『ベンハー』であった。『ベンハー』じゃ勝ち目はないな。→人気ブログランキング
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