ロスト・ハイウェイ
ストーリーを論理的に追おうとするとしっくりこないので、見たまま受け入れるのがデビィット・リンチ作品の見方だろう。迷宮に入ったままにして、細かいことは詮索しないのがいい。
ロスト・ハイウェイ Lost Highway 監督:デヴィッド・リンチ 脚本:デヴィッド・リンチ/バリー・ギフォード 音楽:アンジェロ・バダラメンティ/トレント・レズナー アメリカ フランス 1997年 135分 |
白いセンターラインが車のヘッドライトに照らされて、車は漆黒の闇の中を疾走している場面から始まる。
朝、テナーサックス奏者のフレッド(ビル・プルマン)は、玄関のインターフォンで「ディック・ロラントは死んだ」という声を聞く。ディック・ロラントが誰であるか最後まで明らかにならないが、この意味不明のフレーズが、本作のキーワードである。
翌朝、ビデオテープが入った封筒が玄関におかれていて、フレッドの妻レイネ(パトリシア・アークエット)がビデオを映すと、そ玄関が映っていた。翌朝もビデオがおいてあり、今度は寝室で眠ている夫婦が映っていた。警察を呼んだが手がかりはない。
その夜、ふたりはパーティに出かける。白塗りの不気味な男(ロバート・ブレイク)がフレッドに「私はあなたの家にいる」という。フレッドが携帯電話で自宅に電話してみると、電話から目の前の男の声が聞こえてきた。白塗りの男はディック・ロラントの友人だという。
頭の中が混乱したデヴィットが家に帰ると、ビデオには妻のバラバラ死体が映っていて、ここでビデオと現実が交錯して、フレッドは警察に逮捕されてしまう。
フレッドは妻殺しの容疑で死刑を宣告され独房に入れられ、そこで激しい頭痛に襲われる。
翌朝、独房にいたのはフレッドではなく修理工のピート(バルサザール・ゲティ)だった。ピートは釈放されたものの、彼はなぜ拘置されたかのを思い出せない。両親も友人たちも、自宅前でピートの身に起こったことを話そうとしない。
職場に戻ったピートに、街の顔役のエディ(ロバート・ロッジア)が愛人のアリス(パトリシア・アークェット/レイネと2役)を連れて現れる。やがて、ピートとアリスは深い仲になって密会を続けるようになる。ふたりの仲がエディにバレれてしまえば殺されてしまう。アリスはピートに大金を知人から盗んで一緒に逃げようと持ちかける。
計画実行の夜、ピートはアリスの知人の邸宅へ忍び込み、手筈どおりピートは知人を殴り倒す。ところが、その時点になって、アリスの様子がどことなく怪しい。
ふたりは砂漠に逃げて、砂の上でからみあい、やがてアリスは裸で立ち去っってしまう。残されたピートが立ち上がると、フレッドの姿に替わっていた。
ここから、事態がさらにごじゃごじゃしてくる。
砂漠の小屋には白塗りの男がいて、「アリスなんて女はいない。彼女はレネエだ」と叫ぶ。
フレッドがアリスを追ってモーテルに入ると、そこにはベッドでもつれあうエディとレネエがいた。フレッドはエディを叩きのめして車のトランクに押し込み、再び砂漠に戻る。トランクを開けた途端にエディがフレッドに飛びかかるが、そこに白塗りの男が現れ、ナイフでエディの喉を切り裂いてしまう。
こんな風にストーリーは進んで、早朝、自宅に戻ったフレッドはインターフォンに「ディック・ロラントは死んだ」とささやく。流れからするとディック・ロラントはエディということになるが、そこは曖昧なまま話は進む。
フレッドの家にパトカーがきて、フレッドは車でハイウェイを逃走する。いつしか夜になり、はじめと同じ場面が映し出される。闇の中、白いセンターラインがヘッドライトに照らしだされては消えていく。振り出しに戻ったのだ。→人気ブログランキング
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