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2013年10月22日 (火)

ビッグ・リボウスキ

本作は、コーエン兄弟が描く、レイモンド・チャンドラーが生みの親の探偵フィリップ・マーローへのオマージュであるという。「タフでなければ生きてゆけない。優しくなければ生きている資格がない」の1990年代版。もちろんロバート・アルトマン監督の『ロング・グッドバイ』(1974年)も意識されている。そういう目で本作をみると味わい深い。
Photo_20201214082201ビッグ・リボウスキ
The Big Lebowski
監督:ジョエル・コーエン
脚本:イーサン・コーエン/ジョエル・コーエン
音楽:カーター・バーウェル
アメリカ 1998年 117分

1991年、ロサンジェルス、パパ・ブッシュ政権下で、湾岸戦争まっただ中。
冒頭、影の声は無職の中年男ジェフ・リボウスキ、自称ジュードについて紹介する。ホワイトルシアンの飲み過ぎでいつもアルコール臭くマリファナ喫煙者で長髪ひげ面、仲間とのボウリングが日課、毎日をだらだらと過ごす、彼こそが90年代初頭が生んだヒーローなのだと語る。

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2人組のチンピラがジュードのアパートに押し込み、「女房の借金を返せ」と彼の頭を便器に突っ込む。身に覚えのない独身のジュードは、やられるがまま。チンピラはジュードがお気に入りの絨毯に、あろうことか、小便をして立ち去った。チンピラは同じ街に住む同姓同名の富豪のビッグ・リボウスキと人違いをしたのだ。

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ことの全貌がつかめず、怒りが収まらないジュードは、ボーリング仲間のウォルター(ジョーン・グッドマン)とドニー(スティーヴ・ブシェミ)に相談する。ナム帰りのまるでビッグ・リボウスキと呼ぶにふさわしい体型のウォルターは「切れキャラ」で、ドニーが口を挟もうとするのを遮って、ビッグ・リボウスキに弁償させろという。ウォルターは終始ドニーに意見を言わせない。

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こうした騒動の中、3人はボウリングのトーナメントを勝ち上がっていく。隣のレーンで練習をしている少年愛者で露出狂のジーザス・クィンターナ(ジョン・タトゥーロ)が挑発してくると、瞬間湯沸かし器のウォルターは、切れて銃をぶっ放そうとする。それはいくらなんでもやりすぎだと、ジュードに止められるのだった。

ジュードは富豪の邸宅を訪問するとけんもほろろに追い返されるが、腹いせに絨毯を盗んでくる。数日すると、今度は富豪から呼び出され、若い妻のバニーが〈本当に〉誘拐されたので、犯人に100万ドルの身代金を渡し妻を取り戻してほしいと依頼される。
身代金受け渡し場所に勝手についてきたウォルターは、狂言に違いないと例によって自説を押しとおし、下着の入ったカバンを相手に渡し、しかも機関銃をぶっ放してしまう。その騒ぎに乗じて、間抜けなことに車ごと100万ドルのカバンまで盗まれてしまうのだった。

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途方にくれるジュードであるが、このあたりから怪しげな人物がつぎつぎ現れる。富豪の義理の娘で財団を運営する前衛アーティストのモード(ジュリアン・ムーア)はひたすら妊娠を望む。ポルノ映画界の大物ジャッキー・トリホーン(ベン・ギャザラ)は元ポルノ女優のバーニーを探し回っている。さらにニヒリストと名乗る犯人一味が現れ、ボウリング場の駐車場でウォルターたちと銃激戦でやりあうと、ドニーが心臓麻痺を起こして死んでしまう。この辺りのドタバタぶりは、海辺でふたりがドニーの遺灰を散骨することで落ち着く。

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すったもんだの挙句、ことの真相はビッグ・リボウスキが財団の金をわがものにするために妻の誘拐を仕組んだもの。こうして騒動は終わったが、影の声はいう「あんたのスタイルが好きだぜ」と。なにも解決できなかったジュードこそが、仕掛け好きなコーエン兄弟が提示した90年代のヒーローなのだ。→人気ブログランキング

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