『バレエ・カンパニー』
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The Company
監督:ロバート・アルトマン 脚本:バーバラ・ターナー 原案:ネーヴ・キャンベル /バーバラ・ターナー 音楽:ヴァン・ダイク・パークス アメリカ ドイツ 2003年 112分 ★★★★☆ |
実在のシカゴの名門バレエ・カンパニーを舞台に、バレエの世界をドキュメンタリー風に描いた群像劇。
練習風景や演目を淡々と映し出す一方、企画会議で演目のストーリーを検討したり、予算の獲得を話し合ったりと、新陳代謝するバレーカンパニーの内情を赤裸々に見せてくれる。
主役のライを演じるネーヴ・キャンベルが自ら企画を持ち込み制作にも関わったという。もともとバレーダンサーを志していたキャンベルはすべての踊りを代役を立てずにこなしたという。
ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴに所属するライは、主役のケガで世界的な振付家ラー・ルボヴィッチ(本人が出演)の新作に、主役として抜擢される。このチャンスをものにするため、ライはバーでのアルバイトを減らし、芸術監督のミスターA(マルコム・マクダウェル)の厳しい指導に応えた。
そして雷が鳴り風が吹きやがて雨が降ってくる野外ホールでの公演で、見事に踊りきり喝采を浴びる。「オーケイ、実にいい。母なる自然の中でたくましく踊った。ファンタスティック」とミスターAはライをベタ褒めする。
ミスターAの口癖は、「この作品が描いているのは60年代だぞ。若者は反戦を唱え世界を変えようとしていた。だから規則を曲げドラッグに走り服を脱ぎ捨てて騒いだ。平和行進を行い通りで歌を歌い、殴られながらも花を掲げていた。それを表すのがこの作品だ。心の底から表現しろ。
ブロッコリーと魚とサラダを食べろ」。
行動を注意したり、振り付けを変えたりして、抵抗するベテランダンサーの居場所をなくす。あるいはアキレス腱を切ったりして、こうしたことが、出番を狙っている代役にとってはチャンスなのである。
そしてシーズン最後を飾る作品『青い蛇』でライはソロに抜擢される。両親の見守るなか、踊り終わる頃に転倒してしまう。ライは衣裳を容赦なく脱がされ代役が踊り切る。公演は成功し、カーテンコールの歓声をライは舞台袖から涙を浮かべて眺めていた。
バレエカンパニーで起こる出来事をドキュメンタリー風に映し出して、わからせようと解説したり押し付けたりしない。それがアルトマン作品の共通するところ、本作は一段とその傾向が強い。
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