『インテリア』
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夫が一家を支配してきた妻に別居を宣言する。三人の娘の心配をよそに傷心の母親は自殺未遂を起こす。夫は恋人を娘たちに引き合わせやがて正式に離婚に至る。夫は再婚しそのホームパーティが終わった夜中に現れた母親は夜の荒れる海に入っていく。
映像に時代の古さを感じないのは、インテリアがシンプルだからだろう。時代を表すのはトースターの古さくらいだ。
ロングアイランドの海が見える瀟洒な家が舞台。
実業家のアーサー(E・G・マーシャル)は、インテリア・デザイナーの妻イブ(ジェラルディン・ペイジ)との間に3人の娘をもうけ、娘たちはすでにそれぞれ巣立っていた。イブのおかげでアーサーは成功を収めたといえる。
詩人である長女のレナータ(ダイアン・キートン)は、売れない作家の夫との間がうまくいっていない。次女のジョーイ(メアリー・ベス・ハード)も作家で、姉に強いライバル意識を持っていて、映画作家の夫と暮らしている。独身の三女フリン(クリスティン・グリフィス)は西海岸でTV女優の仕事をしている。三姉妹の消化しきれない葛藤が本作のテーマである。
イブが一家をとり仕切り、アーサーも3人の娘たちもイブに従ってきた。イブは長女のレナータを可愛がり、次女ジョーイには厳しかった。一方父親はジョーイを可愛がった
イブは何事にも完璧を求め自らもそれを実行したから、いきおい口うるさく家族に細々としたことで小言をいった。独立してからもジョーイに、インテリアがどうのと口を挟む。ジョーイはそんなイブに辟易していた。
ある日の朝食の席で、アーサーは妻とふたりの娘を前にして、自分自身を取り戻したいと、妻との別居を宣言する。出ていくといった夫の代わりに、イブはひっそりと家を出ていく、失意のイブはやがてガス自殺を図るが未遂に終わる。
レナータの家のパーティに、アーサーは恋人パールを連れてくる。陽気だが品がなくガサツなパールにジョーイは嫌悪感を抱きつい声を荒げてしまう。
やがて、離婚が成立し結婚式が行われ、海辺の家で家族が集り寝静まった夜、イブが現れ荒れる海へ向かっていく。ジョーイが気がついて救出しようとするが時はすでに遅かった。
葬式の朝、姉妹が哀しみをこらえながら海を見つめるシーンで映画は終わる。誰も言葉に出さないが皆が開放されたのだ。
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