アルカトラズからの脱出
脱走に失敗したクリント・イーストウッドが演じるフランク・モリスが、シンシンやサン・クエンティンと並び勝される極悪犯の収容施設であるアルカトラズ刑務所に送られていくところから映画は始まる。
アルカトラズからの脱出 Escape From Alcatraz 監督:ドン・シーゲル 脚本:リチャード・タークル 原作:J・キャンベル・ブルース 音楽:ジェリー・フィールディング アメリカ 1979年 112分 |
米国連邦司法省刑務所局は、1934年にサンフランシスコ湾に浮かぶアルカトラズ島に連邦刑務所を開設した。潮の流れが速く海水温が低いため脱出不可能として、アルカポネも収監された曰く付きの刑務所である。
1962年に起きた脱走事件を参考に、本作は作られている。1963年にロバート・ケネディ司法長官により本刑務所は閉鎖され、現在は観光スポットとなっている。
こんな話題性が豊かな島を、恐れを知らないトライアスリートたちが見逃すはずがない。アルカトラズ島から対岸のゴールデンゲートまでの潮の流れの速い2.4キロを泳ぎ、バイクは29キロ、ランは12.8キロのレース。バイクとランはサンフランシスコ特有のアップダウンを克服しなければならない。「エスケープ from アルカトラズ トライアスロン」は、1981年から開催されている人気のトライアスロン大会である。
ちなみに、アルカトラズ島は『ダーティハリー3 The Enforcer』(1976年)にも出てくる。
脱走映画には、役人気質で非人間的な応対をする看守や所長に対して囚人が暗黙に善という設定のパターン、囚人が冤罪のパターン、極悪人が超人的な能力を発揮して脱走するパターン、戦争捕虜が脱走する4つのパターンがある。本作は第1のパターン。
新入り囚人は、はじめ古参囚人からも看守からもちょっかいを出される。やがて新入り囚人の毅然とした態度に、ほかの囚人たちが一目置くようになり、気心のしれた仲間ができて、そのうちに脱走計画が持ち上がる。看守に発覚しそうな危機を何回か乗り越えて、他の囚人に邪魔されたりあるいは協力を得たりして、ついには脱走を敢行するというのが、大方の脱走劇の筋である。
本作では、スプーンの柄と爪切りのヤスリを接着して換気口の周りの壁を削り、紙を固め髪の毛を貼り絵の具で肌色に塗ったハリボテの人形を作り、レインコートと接着剤で救命胴衣と浮き袋を作る。
全編を通じてひたすら脱走に向けて突き進むストーリーである。この畳み込むようなスピード感が、ドン・シーゲル監督の魅力だ。→人気ブログランキング
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