モネ展@国立西洋美術館
1月19日(日)
モネ、風景をみる眼―19世紀フランス風景画の革新 2013年12月7日(土)~2014年3月9日(日) |
晴天の日曜日のせいかモネ展は盛況で、チケット売り場はガランとしていたものの、展覧室内は所々で渋滞していた。そんななか、携帯がブルブル震えたものだから部屋の隅へ行って小声で話したつもりが監視員の目に留まり、危うくレッドカードを出されるところだった。展覧会では携帯をオフにするのがエチケットでした。
本展は、国内有数のモネ・コレクションを誇るここ国立西洋美術館とポーラ美術館の共同企画展である。国内のふたつの美術館の収集品だけで、モネの展覧会を開くことができるのは、モネが多作でしかも日本贔屓だったことによる。モネは自宅に日本庭園をつくるくらいの日本趣味で、浮世絵に多いに影響を受けている。
ここで印象派ついて略記する。
19世紀の頃は、パリの芸術アカデミーが主催するサロン(官展)に出展しなければ、画家として認められなかった時代である。1874年に、モネ、ドガ、ルノワール、セザンヌ、ピサロ、モリゾ、ギヨマン、シスレーらが開催した私的な展示会は、後に「第1回印象派展」と呼ばれるようになる。新聞記者がモネの作品『印象、日の出』を「印象的にヘタクソだ」と揶揄したことが、印象派のいわれである。
印象派の活動は、後にスーラ、ゴッホ、ゴーギャンなどのポスト印象派、新印象派へと続き、さらに、キュビズムやシュルレアリスムなどのヨーロッパにおけるさまざまな芸術運動が生まれる引き金となった。時代の変わり目である。
本展では、印象派の中で最も長生きしたクロード・モネ(1840年~1926年)の創作活動を、1現代風景のフレーミング、2光のマティエール、3反映と反復、4空間の深みへ、5石と水の幻影、の5期に、分けて展示している。
モネはあくまで光を描こうと追求した。それが、同じ情景を時間や季節を変えて描いた連作が生まれた理由である。連作には、『日の出』、『積みわら』、『サン・ラザール駅』、『睡蓮』、『ルーアン聖堂』、『国会議事堂』などがある。モネは、自らの感覚に従い周囲の光や空気の変化をとらえようとする印象派の手法をあくまで貫き、進化していったのだ。
モネの代表作といえば、印象派第1回展に出品された『印象・日の出』、モネ夫人を描いた『日傘をさす女』、着物を着て手に扇子を持つ夫人を描いた『ラ・ジャポネーズ』、さらに連作の『積みわら』や『睡蓮』などがある。『積みわら』は25点以上、『睡蓮』に至っては200点以上あるという。光の移ろいはもちろん、水面ひいては水の中や底までも描き出そうとしたという。
本展には、シスレー、マネ、セザンヌ、ピサロ、ゴッホ、ゴーギャン、ルノアール、スーラ、ボナール、ルドン、ピカソ、ガレ、ロダンなどの作品もいくつか展示されている。
本展は目玉の作品があるわけではないので、キュレーター泣かせの展覧会のように思えた。
館の外へ出ると、モネ日和の晴天が続いていた。→ブログランキングへ
→【2013.11.07】カイユボット展@ブリジストン美術館
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