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最初の人間

ノーベル賞作家アルベール・カミュの自伝的小説『最初の人間』の映画化。
カミュは小説を完成させることなく、1960年、46歳の若さで交通事故により急死した。
Image_20210117062101最初の人間
監督:ジャンニ・アメリオ
原作:アルベール・カミュ『最初の人間』
脚本:ジャンニ・アメリオ
フランス・イタリア・アルジェリア 
2012年 105分 

1957年、夏。
すでに著名な作家となったジャック・コルムリ(ジャック・ガンブラン)は、自らのアイデンティティを確かめようと、仏軍墓地に眠る父の墓を参り、数日後に故郷のアルジェリアを訪れる。ジャックの父親は25歳のときに、ジャックを身ごもった妻を残して第一次世界大戦で亡くなった。
ジャックは、これまでに、アルジェリアの植民地化を続けようとするフランス政府の政策に、疑問を投げかける発言をしてきた。

当時のアルジェリアは、1945年に第二次世界大戦が終結したあと、フランスからの独立運動が激化していた。1954年には現地人と入植者の対立によるアルジェリア戦争が起こり100万人が死亡している。1962年7月5日にアルジェリア民主人民共和国として独立を果たした。

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ジャックが空港に着くと、待ち受けていた学生たちに大学での討論会に招かれた。討論会でジャックが「アラブ人とフランス人は共存できる」と今までの主張を繰り返すと、会場には怒号が飛び交い大荒れとなった。
翌日、ジャックは一人暮らしの母(カトリーヌ・ソラ)と、久しぶりに再開する。文盲の母親は昨日の大学での討論会の模様を伝える写真入りの新聞記事を、ジャックに見せるのだった。

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ジャックは父の写真を見つめながら、自らの小学生の頃に思いをはせる。
父のいないジャックは、母とその弟のエディエンヌ、そして父方の祖母の4人で暮らしていた。なにしろ貧乏だった。
成績が優秀なジャックは、担任のベルナール先生から中学進学を勧められるが、教養がなく厳格な祖母に反対される。祖母は、ジャックが悪さをするとムチで打ち、映画館では字幕音読係をさせ字幕のスピードについていけないジャックに、雑言を浴びせる。母親は祖母に逆らうことなく黙々と働いている。
そんなある夜、ベルナール先生が家庭訪問し奨学金をもらって進学するよう祖母を説得するのだった。

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次の日、ジャックは治安の悪いアラブ人居住区に行き、小学校時代の級友ハムッドに会う。ハムッドは勉強ができるジャックに、「おとこ女」とからかってケンカをふっかけていた。
ハムッドは18歳になる息子のアジズが、過激派のメンバーとして逮捕されたので、無実を晴らしてくれるようジャックに嘆願する。
ジャックはアジズの釈放を求めて、政府機関の上層部に逮捕の手続きが違法であると掛け合う。

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ジャックは自らのアイデンティティを確かめるべく、恩師のベルナール先生や療養所にいる叔父のエディエンヌに遭いにいき、父の生まれ故郷を訪れる。その道すがら母親に父親のことをあれこれ質問するのだった。
そんなおり、アジズがギロチン刑で死んだことを知らされたジャックは、ラジオを通してアルジェリア国民の融和を呼びかける。

カミュはあらゆる政治的暴力に否定的で、その点で盟友ジャン=ポール・サルトルと論争を交わしたという。本作は、そんなカミュらしさは小学校時代に形成されたと思わせる内容である。→人気ブログランキング

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