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六つの星星 川上未映子対話集 川上未映子

対談は聞き手が相手の話を引き出すというパターン、つまり「インタビュー型」と、対談者がおよそ同等の立場で話すことによって話が広がったり横にそれたり、あるいは予期せぬ展開になったりする「化学反応型」があると思う。
本書は対談ではなく対話集だから、はじめから化学反応を狙っている。
Image_20201209201101六つの星星 川上未映子対話集
川上未映子(Kawakami Mieko
文春文庫
2012年

斉藤環(精神科医)とは、斎藤が自説を展開し川上を精神分析の俎上にのせようとするものだから、それはちょっと困ると川上が躊躇する。話がかみ合っていない印象がある。

福岡伸一(分子生物学者)とは、先生と生徒の関係。福岡には散文的な抱擁力あるから質問に臨機応変に応じている。生命も言葉も破壊を必要とする。新しい生命を生み出すために古いものは死滅するし、新しい文体を生むには、文章をまずバラバラにしてみるというあたりで話が一致する。

松浦理英子(作家)とは、松浦の現代語訳『たけくらべ』の話題からジェンダーの問題になり、話は化学変化を起こす。

穂村弘(歌人)とは、種村の「ワンダーとシンパシー」という尺度で話が進む。「川上さんはわりといつも同じようにしゃべるでしょう。相手が詩人でも、たぶんホステス時代のお客でも」という、川上のフラットで壁を作らない話し方を指摘する。

多和田葉子(作家)とは、ことばについて語り合う。ことばや漢字の持つ不思議なイメージをそれぞれが披露。他人の書いた文章は読みにくいのは当たり前、「読みにくかったとか読みやすかったと評するのは的が外れている」というのは納得できる。

永井均(哲学者)とは、前半では永井の哲学と倫理学についての話が進み、後半は川上の小説『ヘブン』について分析する。川上の意図するところと相手の理解が異なる点を掘り下げているところが面白い。→人気ブログランキング

乳と卵』(2008年 文藝春秋)→文春文庫
わたくし率 イン 歯ー、または世界』(2007年 講談社)→講談社文庫
オモロマンティック、ボム!』(新潮社文庫)
六つの星星 対話集』(2010年 文藝春秋)→文春文庫
世界クッキー』(2009年 文藝春秋)→文春文庫 
そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』(2006年 ヒヨコ舎)→講談社文庫

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