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2014年3月16日 (日)

美食の世界地図   料理の最新潮流を訪ねて 山本益博

かつて、世界の料理をフランスが牽引していた。その伝統はポール・ボキューズ、ジョエル・ロブション、アラン・デュカスと引き継がれていたが、フェラン・アドリアのエル・ブリ(あるいはエル・ジブ)が閉店したあとは、求心力のある料理人がいなくなったという。
今や、エル・ブリで修行したアドリアの弟子たちが、ヨーロッパやアメリカの各地で活躍している。著者はそれらの料理店を食べ歩いて最新情報をレポートしている。
Image_20201208163001美食の世界地図 料理の最新潮流を訪ねて
山本益博(Yamamoto Masuhiro
竹書房新書
2014年

食はファッションと似たようなところがある。
最先端では、ある意味で実験的で斬新な料理が提供されるし、驚くほど高価な料理がある。一方、家庭では普段着を着るように、日常の食卓にのるありふれた料理がある。
パリコレで絶賛されたファッションが庶民におよそ縁がないように、最先端をいく料理店や超高級店は庶民には全く縁がない。ただし、ユニクロを代表とする低価格帯のファッションブランがあるように、料理にはB級グルメの愛すべき世界がある。
料理界のトレンドは、最先端を食べ歩く著者のような人物たちに任せておけばいい。そこからこぼれてくる情報で庶民は十分である。

本書の中盤では、日本料理の最先端の店に触れ、すきやばし次郎を誉め、ミシュランガイドの不可解な採点基準に疑問を投げかけている。
参考までに、すし飯がの良し悪しはかんぴょう巻を食べると一番わかるという。

最後は、日本の食に関しての説教めいたことを書いている。かつては鼻持ちならない自慢こきの美食おやじとレッテルを貼っていたのだが、本物を追求して洗練されてきたのか、説教が的を射ているように思う。
そんなわけで、著者の食に関する集大成といえる本である。→人気ブログランキング

【食に関する本】
とことん!とんかつ道/今柊二/中公新書ラクレ/2014年
美食の世界地図
料理の最新潮流を訪ねて
/山本益博/竹書房新書/2014年
クスクスの謎―人と人をつなげる粒パスタの魅力/にむらじゅんこ/平凡社新書/2012年
冬うどん 料理人季蔵捕物控/和田はつ子/ハルキ文庫 2012年
ラーメンと愛国/速水健朗/講談社現代新書/2011年
高級ショコラのすべて小椋三嘉/PHP新書/2010年
チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石/武田尚子/中公新書/2010年
グルメの嘘/友里征耶/新潮新書/2009年
吉田類の酒場放浪記/TBSサービス/2009年
古きよきアメリカン・スイーツ/岡部史/平凡社新書/2004年
食べるアメリカ人/加藤 裕子 /大修館書店/2003年
至福のすし「すきやばし次郎」の職人芸術/山本益博/新潮新書/2003年
フグが食いたい!―死ぬほどうまい至福の食べ方/塩田丸男/講談社プラスアルファ新書/2003年
カラ-完全版
日本食材百科事典
/講談社プラスα文庫/1999年
インスタントラーメン読本/嵐山光三郎/新潮文庫/1985年
アメリカの食卓/本間千枝子/文春文庫/1984年

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