アンディ・ウォーホル展 永遠の15分
3月○日(日)
アンディ・ウォーホル展(2014年2月1日~5月6日 森美術館)は、ラファエル前派展の上の階でやっていた。
サブタイトルの「永遠の15分」とは、1968年にウォーホルが語った「未来には、誰でも15分間は世界的な有名人になれるだろう」からとったもの。真意はよくわからない。
会場はごった返していて、若者が多く、奇抜なファッションを身にまとった客もちらほらだった。
ウォーホルは、はじめは工業デザインを手がけていて、やがてポップアートのパイオニアとして作品を生み出していった。さらに、音楽や映像の世界にも手を広げ、幅広い分野で活躍した。ビートルズと共に、1960年代に世界で最も影響力があったアーティストとされている。
作品は主にニューヨークのファクトリーと呼ばれるスタジオで作られた。ファクトリーには多くの有名な人物もそうでない人物も出入りしていた。というよなことが、パネルに書いてあった。
1968年、ウォーホルが40歳のときに、ファクトリーの常連だったバレリー・ソラナスに銃で撃たれ重態になった。
また、モデルのイーディ・セジウィックはウォーホルと親密な関係となったが、彼女がボブ・ディランとつきあったことで、ウォーホルとの関係が険悪となった。その後アルコールと薬物で心身ともにぼろぼろとなった彼女は、最終的に薬物の過剰摂取で自殺している。ふたつの事件は、『アンディ・ウォーホルを撃った女 』(1995年)、『ファクトリー・ガール』(2006年)というタイトルで、映画化されている。
例のキャンベルのスープ缶詰がいくつも並んだ様は壮観であり、その缶詰から一筋のスープが缶を伝って垂れているのを、ふむふむと思っって眺めた。さらにブリロの箱がそこかしこに置かれていて、この箱の中には実際に洗剤入りスチール繊維が入っているのか、空なのか、何か別の物が入っているのか、素材は何かと疑問が生まれたものの、監視員はあまりの混雑ぶりに殺気立っっていて、スマートフォンで撮影するルール違反者もいたので、訊こうにも訊ける雰囲気ではなかった。
次は、マリリン・モンローに始まる有名人の顔写真をシルクスクリーンに刷った版画が大量に展示されていた。
このあたりまでは、混んでるとはいえ、なんとか鑑賞できた。テレビ画面の白黒映画はチラリと見ただけ。
日本人のシルクスクーリーン版画も何点かあり、TDKのコマーシャルに出ていたウォーホルのスティール写真があり、日本と深い関係があったことがうかがわれた。
美術展のハシゴはきついなと思いつつ出口にたどり着いた。
フォーホルに限らず、現代アートを「おお、すごい」と思えるスイッチがどこにあるのか、相変わらず見つからなかった。
回顧主義のラファエロ前派と、時代の流れとともに前へ前へと突き進んだアンディ・ウォーホル、芸術に対する姿勢は対象的であった。芸術は回顧しようと前進しようと、時代の流れの中でしか成り立たないことを強く感じさせられた。→ブログランキングへ
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