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『ヤンキー進化論―不良文化はなぜ強い』難波功士

著者は多岐にわたる資料をもとに、ヤンキーのルーツから最新動向までを、おもにファッションの視点から解き明かしている。

著者はナンシー関のヤンキーに関するいくつかのコラムの行間から、「ヤンキーの美意識はバッドテイストである」と一言でまとめている。このバッドテイスト(悪趣味)は、ヤンキーを語るときに必ず挙げられるキーワードである。

ヤンキー進化論 (光文社新書)
ヤンキー進化論
posted with amazlet at 14.04.18
難波功士(Nanba Kouji)
光文社新書
2009年4月 ★★★★★

著者がヤンキーの条件として挙げているのは3点。(1)階層的には下(と見なされがち)、(2)旧来型の男女性役割〈ジェンダー・ロール〉(男の側は女性に対して、セクシャルでありかつ家庭的であることを求める。概して早熟・早婚)、(3)ドメスティック(自国的)やネイバーフッド(地元)を志向。

階層については、ヤンキーの多くは現場仕事に従事する労働者、ないしは小規模な自営業者およびその後継者である。これらの仕事の志気の高さこそが、社会の安全と活力の基盤であることは間違いないとする。
労働者階級の矜持を論じることに、ヤンキー文化とは何かを考えることに今日的な意義があるとしている。

60年代までの不良・非行の意匠は、制服姿の「番長」「スケ番」、街にたむろする「愚連隊・チンピラ」「ズベ公」「太陽族・みゆき族」「フーテン」、戦後のアロハシャツからヒッピーまがいのサイケ、等で認識されていた。これらのうちには、ヤンキーは影も形もないとする。
著者がヤンキーのルーツと捉えているのは、60年代から70年代半ばまで横浜や東京を中心に流行したスカマンである。スカマンとは、ヨコスカマンボ族の略称。米軍の基地がある横須賀に関連がある以上、ヤンキー(Yankee)の言葉通りに、アメリカの影響を受けた不良文化がルーツであろうとしている。一説にある、ヤンキーの関西起源説に否定的である。

ナンシー関は日本人の5割はヤンキーとし、芸能界を支配する美意識の大部分がヤンキー的なものであることを指摘した。そして著者は、〈コアなヤンキーは減少したかもしれないが、・・・ヤンキー的な人・モノ・コト広がってしまった〉と憂慮をほのめかしている。

本書では、ナンシー関のバッドテイスト、ヤンキーの条件、ヤンキーのルーツ、ヤンキーの社会的意義、人を含めたヤンキー的なコトの広がりについて述べているが、著者が導き出した以上の仮説や論点はいずれもヤンキーを語るうえで、基調となっているのである。→ブログランキングへ

世界が土曜の夜の夢なら ヤンキーと精神分析/斎藤環/角川書店/2013年
ヤンキー進化論―不良文化はなぜ強い/難波功士/光文社新書/2009年

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