美しすぎる母
本作は実話に基づいて作られているとのこと。
1942年、「男(カネ)を見つけなさい」という母の教えにしたがい、バーバラ(ジュリアン・ムーア)は、大富豪ベークランド家の跡取りブルックス(スティーヴン・ディレイン)と結婚し、息子アントニーを産む。
ちなみに、1907年にレオ・ヘンドリック・ベークランドが、世界初のプラスチック「ベークライト」をフェノールとホルマリンから作り出した。この発明によりベークランド家は大富豪となる。
ブルックスはレオの孫に当たる。
美しすぎる母 Savage Grace 監督:トム・ケイリン 脚本:ハワード・A・ロッドマン 音楽:フェルナンド・ベラスケス スペイン フランス アメリカ 2007年 97分 |
一家はアントニーが物心つく頃までは順風満帆であった。
ところが、ブルックスはアントニーが凡庸とみるや、冷ややかな態度で接するようになる。
その反動でバーバラはアントニーを異常なくらい溺愛し、こうしたいびつな家族関係がアントニーにいい影響を及ぼすはずがない。上昇志向の強い成り上がりのバーバラとブルックスは次第にうまくゆかなくなる。
ブルックスは家を出て愛人と生活し、一方バーバラは情事に身を委ね、それを後悔して自殺未遂を繰り返すような破滅的な生活を送るようになってしまう。
バーバラにとって唯一の心の拠り所はアントニー(エディ・レッドメイン)であり、アントニーは父の代わりに母を愛し守ろうとするのだが、アントニーも自堕落で奔放な生活を送っていた。
母子はニューヨーク、パリ、カダケス、マジョルカ、ロンドンと当てもなくさまよう生活を送る。
アントニーは同性愛に走り、その相手の男とバーバラが関係を持つという、もはやソドムのような状況に至ってしまう。ここまでくれば、あとは坂を転げ落ちるように悲惨な状況がエスカレートしていく。
しまいには、母子は性的な関係に陥り、アントニーは精神に異常をきたすようになる。
そして、1972年11月、バーバラは愛する息子アントニーに殺害される。まるでギリシャ神話の世界だ。
社交的で明るいもののやがて壊れていく美貌の女バーバラは、ジュリアン・ムーアにぴったりの役柄である。
ここから、画面に字幕スーパーが流れる。
その後のアントニーは、心神耗弱状態での殺人で有罪となり精神医療刑務所に収監される。1980年に釈放されバーバラの母親に引き取られるが、1週間も経たないうちに、
口論の末、祖母をナイフで刺し逮捕される。
その後、アントニーはNYのライカーズ島に送られた。1981年、島の刑務所でビニール袋を頭からかぶり自ら命を絶った。→人気ブログランキング
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