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『言葉の誕生を科学する』小川洋子× 岡ノ谷一夫

小説家・小川洋子と脳科学者・岡ノ谷一夫との言葉の起源に関する幅広い視点からの対話集である。

岡ノ谷は言葉の起源に「前適応説」を採用している。
「前適応説」とは、たとえば鳥の羽はもともとは飛ぶことではなく、暖かいことが適応的であったと考えられている。ところが、羽が十分に生えてきて飛ぶという機能が新たに生まれてきたというもの。
言葉も同じように、言葉とは関係のない、ほかの機能のために進化してきたいくつかが組み合わさることで、新しい機能として言葉が生まれてきたとしている。

言葉の誕生を科学する (河出文庫)
小川洋子(Ogawa Yoko) × 岡ノ谷一夫(Okanoya Kazuo)
河出文庫
2013年11月

人間の言葉は生殖行為を前提として生まれたとする。
つまり異性を誘うときにいろいろな歌をうたった。たくさんの音を上手に組み合わせるヤツが異性から人気があった。狩のときに歌うヤツの周りに友達が大勢集まってきた。食事のときとかいろんな状況で歌をうたう。歌をお互いに学びあい共通する部分ができてきて、歌の一部が具体的なものを示すようになり、単語のような働きを持つようになり、単語の出てくる順番みたいなものつまり文法が生まれてくる。これが岡ノ谷が提唱する「歌起源説」である。

学会の多勢が信奉しているのは「単語起源説」である。しかし単語を組み合わせ文法がどうやって生まれてくるのかが説明されていないと、岡ノ谷は「単語起源説」の欠点を指摘する。その点、「歌起源説」は歌をうたっているうちに単語も文法も出てくるという説で、説得力があると主張する。

人間以外に言葉を操作することを学ぶ動物は鳥とクジラであるという。
オウムや九官鳥は教えれば言葉や文章をしゃべる。
その理由は、小鳥たちは基本的に人間と同じ耳のフィルターを持っていて、われわれの協和音は彼らにとっても協和音だという。鳥のさえずりが、一般に人間に心地が良いのは美意識が共有できているからで、それは耳がほぼ同じ仕組みだからだという。

このほか、「ミラーニューロン」、「フェルミのパラドックス」、眼輪筋が情動の中枢から制御を受けているゆえに「目は口ほどに物をいう」、外国語を習得しづらい理由などが語られる。→ブログランキングへ

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