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2014年5月 2日 (金)

さよなら、オレンジ 岩城けい

オーストラリアの田舎町で暮らす異国の女性たちの悲しくも逞しい姿を描いた物語。第29回太宰治賞受賞、第8回大江健三郎賞受賞、2014年本屋大賞4位、第150回芥川賞候補。

アフリカからの難民であるサリマが三人称で書かれ、ほかに、日本から来たSが綴る一人称の手紙が所々で差し込まれ、この二つ視点から女性たちの苦悩が描写される。
異国で生活するには第2母国語を習得することが、何よりも重要であることをテーマとして描かれている。
Image_20201106111201さようなら、オレンジ
岩城けい
筑摩書房 2013年 ✳︎10

彼女はスーパーマーケットで生鮮食品の加工の仕事についた。肉や魚をさばく仕事は単調で過酷であったが、職場にはサリマと同じように国を離れた仲間たちがいた。
夫はそんなサリマと子どもを見捨てて町を出ていく。

それまで数知らずの辛酸を舐めそれに耐えて生きてきたサリマは、理不尽な夫の行動にもめげず、前へ進もうとする。
彼女は英語を習得するために語学学校に通うことにし、そこでハリネズミのような直毛の日本人と、肌がオリーブ色の年嵩のイタリア人と出会う。
この3人の女性を中心にストーリーが展開されていく。サリマは持ち前のひたむきさと向上心で貧困生活から脱出しようとする。彼女の生き様は、まわりの人間を勇気づけるのだった。

サリマが心の中で、ハリネズミと呼んでいるのがSである。
Sは小説を書く夢をあきらめ、夫についてオーストラリアにやってきた。夫は研究室に勤務しているが、薄給のため夫婦には健康保険がなかった。それゆえに風邪をひいた娘を医者に診せることを躊躇し娘を死なせてしまい、Sは悲嘆にくれる毎日を送る。

Sが手紙を送る恩師のジョーンズ先生は、彼女に小説を書くように勧める。それが励みとなって、Sはサリマの生き様を小説に書こうと決意するのだった。→人気ブログランキング

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