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『紫式部の欲望』 酒井順子

約千年前に書かれた日本最古の長編恋愛小説でありポルノやホラーの要素がある『源氏物語』、紫式部が光源氏や女性たちに託した思いは何だったのか。
女心の分析にかけての第一人者である著者は、独特の視点で紫式部の心の奥底を読み解いていく。著者のプレゼンテーションには、「なるほど」「ごもっとも」「その通りです」「参りました」の連発である。

紫式部の欲望 (集英社文庫)
紫式部の欲望
posted with amazlet at 14.05.31
酒井順子(Sakai Junko
集英社文庫
2014年4月  ★★★★★

まず、紫式部の性格に言及する。
紫式部とよく比較される清少納言はあっけらかんとした「乾」であり、紫式部は「湿」であるとしている。紫式部は『紫式部日記』のなかで、清少納言の悪口をさんざっぱら書いている。随筆を書くには、あまりにもじめっとした粘着気質ゆえ、思いを吐露するにはフィクションにならざるをえなかったと分析している。

そして、紫式部は『源氏物語』のなかで、彼女自身が「(男から)されたいこと」あるいは「やってみたいこと」あるいは逆に「されたくないこと」を、書き綴ったのではないかとしている。
そうした視点で選ばれたテーマは、〈連れ去られたい〉〈ブスを笑いたい〉〈嫉妬したい〉〈プロデュースされたい〉〈頭がいいと思われたい〉〈見られたい〉〈娘に幸せになってほしい〉〈モテ男を不幸にしたい〉などの女の性ともいうべき20項目。

紫式部のこれらの欲望は著者自身にも当然のことながらあると書く潔さが、一層の説得力を持つのである。千年前も現代も女心は変わらないということだ。→
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