少女は自転車に乗って
サウジアラビア初の女性映画監督の作品。
圧倒的な男性優位のイスラム社会で、女性の社会進出や人権回復が進むだろう未来を期待させる、女性監督でなければ撮れない作品に思える。
少女は自転車にのって 監督:アイファ・アル=マンスール 脚本:アイファ・アル=マンスール 音楽:マックス・リヒター サウジアラビア ドイツ 2012年 98分 |
10歳のお転婆娘ワシダ(ワアダ・ムハンマド)は、仲良しの少年アブダラ(アブドゥラフマン・アル=ゴハニ)と自転車で競争することを夢見ている。そのためにミサンガを売ったりして小金を貯めているが、自転車の代金800リアルには到底届きそうにない。
ワシダの母親(リーブ・アヴドラ)は、外泊がちの夫が彼女を第一夫人に選ぶか、あるいは付き合っている女性を選ぶか、微妙な立場にある。
一夫多妻制のイスラム圏ならではの悲劇だ。
ワシダが通う女子校は校則が厳しい。
校則を破る何人かの女生徒がいて、一匹狼のワシダは彼女たちの仲間ではないが、女性の校長から目を付けられている。
そんなおり、学校で「コーラン暗唱コンテスト」が行われ優勝者に1000リアルが贈られることを知ったワシダは、コーラン問題のDVDを買ってきて猛勉強する。
そしてワシダは優勝するのだが、賞金の目録が渡される段になって、校長に賞金の寄付を強要されて、泣く泣く校長に従うのだった。
家に帰ると第一夫人になれなかった失意の母が、優勝のご褒美に自転車をプレゼントしてくれたのだ。
ワシダはアブダラと自転車で風を切って走り回る。大きくなったら結婚して欲しいとアブダラがワシダにいうと、彼女はにこりと微笑むだけ。
この微笑みが、ワシダが大人になる頃には、女性たちにとって少し明るい社会になっているかもしれないことを予感させるのである。→人気ブログランキング
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