神座(かむくら)/ジャン・フォートリエ展(大阪)
10月◯日(日)
大型の台風18号が沖縄の近くまできてるのに、大阪にいる。
用事が済んだらさっさと帰ることにすればよかったのだが、台風襲来を考えもしなかったので、午前中に用は済むのに、飛行機は17時35分伊丹発を予約した。一応、その前の飛行機に変更できるか調べたが、JALもANAも満席だった。
こうなりゃジタバタしても始まらない、予定通り、昼食は大阪の名物を食べて、美術館に行くスケジュールを敢行することにする。
そこで、前々から何としても食べたいと熱望していた神座(かむくら)のハクサイ入りラーメンを食べることにした。
大阪駅に隣接するルクア大阪の10階、道頓堀神座に並ぶ。ここにたどり着くまで、3名の親切な大阪人に道を訊ねた。
2時近くにもかかわらず20名くらいが並んでいるが、回転が早いので列はどんどん進んだ。すでにネットで調べて、注文は「煮タマゴラーメン 730円」と決まっている。
しょう油味のスープに野菜の甘みが出ていて、縮れた細麺にマッチして、ハクサイのシャキシャキ感は素朴でヘルシーな雰囲気があり、チャーシュウは少しパサつくものの薄味で、煮玉子も薄味でこのラーメンに合っている。さすが神座、病みつきになりそうなラーメンであった。
食べ終わって汗を吹き吹き、タクシーでジャン・フォートリエ展開催中の国立国際美術館に向かう。
ジャン・フォートリエ(1898-1964)については何も知らない。それなのに、音声ガイドがないという。主催者に気合が入っていないということだろうか。
多くの作品が恐ろしく暗い。
「人質」の連作が有名だそうだが、どうにも感激できないし納得もできない。説明の看板によれば、〈1960年にはヴェネチア・ビエンナーレで大賞を受賞しました。〉と紹介されていて、ヴェネチア・ビエンナーレは現代美術の最大級の集合展だから、大したものなのだなと思ったが、実感がない。
「アンフォルメル」がジャン・フォートリエを理解するキーワードらしい。
アンフォルメル(否定形の芸術)とは、『現代美術のキーワード』(暮沢剛巳 ちくま新書)から要約すると、1940年代50年代に起こったヨーロッパの美術動向で、激しい抽象画と表現される。「激しい」とは、厚塗りしたり、キャンバスを引っ掻いたり、絵具を噴霧したり、垂らしたりすること。ジャクソン・ポロックなどのアメリカの象徴表現主義に通じるらしい。
しかし、アンフォルメルはアメリカとの主導権争いで、敗北した形となった。だから美術史の日陰にいる。
写真が世に出てきてからは、絵画が行き場を失ってしまい、画家たちの苦悩の結果生まれたのが、抽象絵画である。ジャン・フォートリエの作品はそのひとつなのである。
伊丹空港に着くと、南への飛行機は軒並み欠航になっていた。新潟行きは飛ぶことになっているが、揺れるだろうな。→ブログランキングへ
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