諸橋近代美術館
10月〇日(日)
諸橋近代美術館は、裏磐梯スキー場の近く国道459号に面している。
門をくぐると、せせらぎが光を反射させて流れていて、その向こうに池があり、さらにその奥にヨーロッパの風情が漂うシックな美術館が建っている(→http://dali.jp/)。
諸橋近代美術館の成り立ちをパンフレットなどから抜粋すると、郡山市に本社があるゼビオ株式会社の初代社長・諸橋廷蔵氏(1934~2003年)が、サルバトール・ダリの作品にいたく感激し個人的に蒐集を始めたことが発端である。本美術館は1999年に開館されている。
なおゼビオはスポーツ用品やアパレルの小売業者で、日本全国に122店舗を展開するという。
音声ガイダンスが無料だった。
館内にはどことなく温かみを感じる。ここを訪れたのは3回目。
4つの展示室の手前に、数々の彫像が置かれた広い展示室があり、そこはカメラ撮影が自由である。さらに許可を取れば彫像に触ることも可能なので、視覚不自由の方々がガイドの指示に従って白い手袋を着けて彫像に触れていた。
ぐにゃりと曲がった時計の「時間の持続」や、脚が節足動物の脚のように細くて長い「宇宙象」や、胸や腹や膝そして額が引き出しになっている「引き出しのあるミロのヴィーナス」など、わかりやすい彫刻は見ていて楽しい。
ダリ(1904~1989年)は同じスペイン出身のパブロ・ピカソの影響を受け、フェルメールを神とたたえ、妻ガラをこよなく愛したという。
ジョルジュ・デ・キリコ(1888~1978年)の影響も強く受けている。
ダリの作品はまさに夢の世界を感じさせてくる。
シュルレアリズムの親玉アンドレ・ブルトンから睨まれパージされ、また、他のシュルレアリストからは商業主義に走っていると非難されたというが、ダリの作品はわかりやすいところがいい。ダブルイメージやだまし絵の意図するところを説明されれば、すぐになるほどと思う。
「ビキニの3つのスフィンクス」は、太平洋戦争における原爆投下、ビキニ環礁での水爆実験に抗議した作品だという。アインシュタインとフロイトの往復書簡から想起されたイメージに基づき作品が描かれたという。ダブルイメージと騙し絵の要素を持つこの作品には、雲と木立の葉のなかにふたりの横顔が描かれている。
なんと言っても、大作「テトゥアンの大会戦」(3m×4m)は迫力があった。ただ、尊敬するフェルメールを崇めて描いたという中央上の椅子の脚が、どうフェルメールにつながるのか理解できなかった。
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