書くことについて スティーヴン・キング
含みのある比喩を多用するするキングの文章作法がぎゅうぎゅうに詰まっている。無駄な副詞は排除がキングの文章スタイルであるという。
本書のはじめの部分は、キングの幼いころから『キャリー』が売れるまでの悪戦苦闘の日々を綴ったメモワール(履歴書)で、中ごろ以降は文章読本になっている。
特筆すべきは、本書の執筆中に日課の散歩に出かけたキングは車にはねられ瀕死の重態となったこと。無事生還するのだが、文章読本を執筆中に死にかけたのは、世界広しと言えども私だけだろうと述懐している。そして、リハビリに耐えながら本書を仕上げたというから、ありがたみが増す。
書くことについて スティーヴン・キング(田村義進 訳) 小学館文庫 2013年7月 |
著者の助言をいくつか挙げると。。
無駄な副詞は極力使うな。
手垢にまみれた直喩や暗喩は切って捨てる。
狂ったように走った、夏の日のように美しい、ひっぱりだこの人気など、書かないほうがましだ。
自動詞を使え、他動詞を使うと格調が高くなるというのは間違い。
日本語でいうと受動態の文章を書くなということ。他動詞を使うのは責任を逃れていると言いたいのだろう。
文章を読んでいることを忘れさせる文章を書け、必然的に文章は短くなる。
会話はを説明する言葉は、”言った”がいちばんいいという。
第一次稿を書いたあと、読み直して象徴的なものを見つけることがあるという。例えば処女作の『キャリー』であれば「血」である。もちろん第一次稿を書いているときに、「血」を意識していたわけだが、二次稿ではテーマの「血」をより磨き上げていく。
なお、第一次稿を書き上げたあと、原稿を机の中にしまい込んで1か月間放置するとのこと。もちろん、あくまでキング個人の小説作法である。
本書の「書くことについて」の項は、書く者にとって是非知っておきたい、秘伝が披露されている。
巻末には、2001年から2009年にかけて著者が読んだ本からベスト80冊が掲載されている。→人気ブログランキング
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