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2014年10月18日 (土)

オルセー美術館展@国立新美術館

10月〇日(日)

オルセー美術館の歴史は新しい。
ルーブル美術館などいくつかの美術館に散在している19世紀から20世紀はじめの作品を、ひとつの美術館に集めようという構想が、フランスで1973年に始まった。その構想はジョルジュ・ポンピドゥ、ジスカール・デスタン、ついでフランソワ・ミッテランの3代の大統領に引き継がれ、1900年のパリ万博で建てられ老朽化したオルセー駅を改築して、1986年12月にオルセー美術館が誕生した。

10時ちょっと過ぎに入ったものの、うんざりするくらい混み合っていた。連休であるし、今週いっぱいで終了するからだ(2014年7月9日~10月20日)。同じ理由で駆けつけたわけだけれど。。

マネを通して印象派を俯瞰しようという企画である。監修は島田紀夫。(→『セーヌ川で生まれた印象派の名画』)
目玉の作品はマネの『笛を吹く少年』。キャッチコピーは、世界一有名な少年。『笛を吹く少年』で始まり、『アンリ・ロシュフォールの逃亡』で締めくくっている。『笛を吹く少年』は奥行きがなく扁平の駄作と酷評されたという。

印象派に影響を与えたバルビゾン派のミレーの『晩秋』も今回の話題の作品である。
『晩秋』は実家の八畳間の鴨居の上に飾られていたから、ほぼ毎日目にしていた。風邪で寝込むと一日中眺めていた。何かを語りかけてくるようで、本物は迫力がある。

第1回印象派展は1か月間開かれたものの、訪れた人はたった3000人、観覧中に大声をあげる人や罵声を放つ人もいたという。それほど評判が悪かった。
マネは、問題作を次々に描いた印象派の中心に位置する人物であるが、印象派展には一度も出品していないというのは、驚きである。

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この他、目を引いたのは、モネの大作『草上の昼食』である。この大作は大家に家賃の方に取られ、買い戻したときには傷みが酷く、痛んだ所を切り取って残ったのは縦長の部分と正方形の部分に分かれてしまったという。
印象派と対立するアカデミズムのアレキサンドル・カパネルの『ヴィーナスの誕生』は何とも大胆な構図で、当時サロンに絶賛されたそうだ。
『サン・ラザール駅』(モネ)は、近代化の息吹がキャンバスから溢れ出ている。
最後の部屋に展示されていた『アンリ・ロシュフォールの逃亡』は、印象派の行く末を暗示させる、物語性たっぷりの作品であった。
 
アンリ・ロシュフォール(1831-1913)は、1868年に反体制新聞「ラ・ランテルヌ」を創刊したり、1871年に起こったパリ・コミューンでも活躍し、1873年にニューカレドニアに国外追放となった。
1874年に、4人の仲間とともに月夜に小舟を使ってここから脱出し、オーストラリアの船で米国に渡った。画面の高い位置の水平線にかすかに見えるのがオーストラリアの船である。よくみると小舟には5人乗っていて、こちらを向いている人物はマネであるとされている。風刺画のような作品である。

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なお、本展覧会のサイトに掲載されている「相関図」は、印象派を中心とした画家たちの関係がわかりやすいイラストになっている。http://orsay2014.jp/highlight.html

ごった返すグッズ売り場を人をかき分け通り抜け、展示室から脱出した。そう、「脱出」という言葉がふさわしいくらい混んでいた。

美術館内にあるカフェ、カフェ・コキーユで、トマトジュースとグレープフルーツを混ぜたサンセット420円を飲んで、一休みする。トマトとグレープフルーツが個性を互角に主張するジュースであった。
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