ダラス・バイヤーズクラブ
エイズがゲイたちに発症しだし、アメリカの男優やミュージシャンが患者に名を連ね、治療法が手探りの状態だった頃の話である。世間はエイズをゲイ特有の病気くらいにしか捉えていなかった。
ダラス・バイヤーズクラブ
Dallas Buyers Club 監督:ジャン=マルク・ヴァレ 脚本:クレイグ・ボーテン/メリッサ・ウォーラック アメリカ 2013年 117分 |
1985年、ダラスの電気工・ロン(マシュー・マコマヒー)が仕事中のケガで入院すると、エイズに罹っていて余命30日と宣告される。友達はたちまち離れていった。
ロンは典型的なテキサス男で、酒と女にあけくれロデオに命をかけていた。そんな彼にとって医者の宣告はまさに青天の霹靂であった。
彼は臨床試験が始まったばかりのエイズ治療薬AZTを手に入れようと主治医のイブ(ジェニファー・ガーナー)に掛け合うが、断られる。ゲイであるレイヨン(ジャレッド・レト)は治験の対象者に選ばれていた。
ロンはレイヨンをはじめは嫌っていたが、やがて信頼をおくようになり、ふたりの間には友情が芽生えていく。このふたりの関係が本作のテーマのひとつである。
ロンはヤミでエイズ患者を治療している医者を訪れ、医者からAZTの副作用で命を落とすことがあると知らされる。そしてエイズについて詳しく教えてもらうのだった。
さらにロンは自らエイズの知識を深め、エイズに有効な治療を探そうとする。その頃には、医師が宣告した30日をとうに過ぎていた。
やがてそんなロンの行動にイブも共感を抱くようになる。
ここからロンの快進撃が始まる。ダラス・バイヤーズクラブを立ちあげ、エイズに有効な生活習慣を指導し、治療薬を買い集め販売する。
エイズに対し後手に回る行政を尻目に、ロンはエイズの治療薬を求めてオランダへ日本へと精力的に出向き、薬を仕入れていく。
そんなロンに目をつけた司法当局は法的措置を取る。彼は裁判に負け、クラブは解散を余儀なくされてしまう。しかしそんなことで諦めるロンではなかった。
本作は、エイズを克服しようと奮闘するロンの不屈のバイタリティを賛辞する物語であり、ロンとレイヨンの友情の物語であり、法律に縛られ素早い対応が取れない行政への揶揄を描いた物語でもある。
マシュー・マコマヒーがアカデミー賞主演男優賞に、ジャレッド・レトが助演男優賞に輝いた作品。
激しく痩せたマシュー・マコマヒーはエイズ患者になり切った演技を披露した。→人気ブログランキング
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