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2015年1月14日 (水)

『もう年はとれない』ダニエル・フリードマン

かつて35口径マグナムをぶっ放し辣腕刑事としてならした87歳のバックは、抗凝固剤を服用し認知症が始まっているかもしれないと医者から言われているにも関わらず、ラッキーストライクを所構わずのべつに吸う不良ジジイである。
老人のディスアドバンテージを逆手にとって、あるときは弱さを表に出し、あるときは強引に振る舞い、あるいは認知症のせいととぼけたりする。周りがもて余すやっかいな老人なのである。

もう年はとれない (創元推理文庫)

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ダニエル・フリードマン/野口百合子 訳
2014年

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バックが、収容所で散々な目に合わせられたジーグラーを探し出し復讐しようと重い腰をあげると、金塊目当ての男どもがすり寄ってくる。

なにしろ高齢なので、助手が必要である。大学生の孫テキーラが、グーグルで調べたり車を運転してくれたりする。
この関係は、レックス・スタウトのネロ・ウルフ・シリーズと似ている。
バックは老人ゆえ行動範囲が狭い。それを補うのが孫のテキーラ。
グルメ探偵ネロは超デブゆえ身動きがとれない。補うのは助手のアーチー・グッドウィル。

「忘れたくないこと」として、メモが所々で差し込まれている。これはストリーの進行を助けるト書きの役割を果たし、背景の細かなことが知らされる。
本作はフーダニットの形をとっているが、誰が犯人なのかもさることながら、超高齢のバックが何をやらかすか大いに気がかりにさせられる、そこが魅力の作品である。

先進国はどこも高齢化社会となり、ベビーブーマーは日米のみならず西欧諸国にもわんさといる。彼らを読者と見込んだ作品がこれからどんどん書かれるのだろう。もちろん映画化もされる。
もし本作が映画化されるならば、主人公は、『グラン・トリノ』(2008年)や『人生の特等席』(2012年)で頑固な老人を演じたクリント・イーストウッドが適役と思った。

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