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2015年6月

2015年6月30日 (火)

若冲 澤田瞳子

「異能の画家」伊藤若冲(1716年~1800年)の半生を描いた歴史小説。
腹違いの妹お志乃は、顔料を溶いたり墨をすったり、若冲の身の回りの世話をやいた。そのお志乃の目で描かれている。
第153回直木賞(2015年7月)の候補作。
Image_20201119141801若冲
澤田 瞳子(Sawada Touko
文藝春秋
2015年

源左衛門(伊藤若冲)は、京・錦高倉の青物市場に店を構える「桝屋」の4代目店主。
源左衛門は、日がな一日絵を描いていて仕事にさっぱり身が入らない。源左衛門には絵を描いて金を儲けようという発想がない。若旦那ゆえ高価な顔料をふんだんに使っていた。
店を切り盛りしている母親とふたりの弟は、絵しか興味のない源左衛門に愛想をつかしている。
結婚して2年目に妻のお三輪が蔵で首を吊って死んだ。8年前のことである。
源左衛門は、お三輪をかばえなかった不甲斐なさを悔やみ、妻への懺悔の気持ちからいっそう絵にのめり込むようになった。

三輪の弟弁蔵は、姑にいびられ源左衛門に大事にされずに姉は死を選ばざるをえなかったと思っている。

若冲は、鹿苑寺大書院障壁画の製作を依頼され一旦は固辞したものの、悩みぬいた末、不吉な植物とされる芭蕉を描くことで引き受けることにした。それを機に若沖は客の求めに応じる絵も手掛けるようになった。

著者は、弁蔵の怨念が若冲を奮い立たせ、大胆で緻密な奇想の作品を描かせたという設定でストーリーを作り上げている。
京を舞台に、若冲と同時代に活躍した、池大雅、円山応挙、与謝蕪村、谷文晁、市川君圭ら画師たちとの関わりを大胆な切り口で描いた傑作である。→人気ブログランキング

月人壮士(つきひとおとこ)/中央公論新社/2019年
落花/中央公論新社/2019年
秋萩の散る/徳間書店/2016年
師走の扶持 京都鷹ヶ峰御薬園日録/徳間書店/2015年
ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録/徳間文庫/2016年
京都はんなり暮らし/徳間文庫/2015年
与楽の飯 東大寺造仏所炊屋私記/光文社/2015年
若冲/文藝春秋/2015年
満つる月の如し 仏師・定朝/徳間文庫/2014年
泣くな道真 ―太宰府の詩―/集英社文庫/2014年

2015年6月24日 (水)

狐笛のかなた 上橋菜穂子

隣国のいがみ合いから生じた怨念と呪いの中で、惹かれ合うふたりの若者の純真さが貫かれる。日本の昔を舞台にしたファンタジー小説。
Photo_20201121083801狐笛のかなた
上橋菜穂子(Uehashi Nahoko
新潮文庫
2006年

ある夜、小夜は犬に追いかけられた子狐を懐に入れてかくまった。
子狐は後に小夜の命を狙う宿命を背負った霊狐の野火であった。
子狐を懐に入れたまま小夜は屋敷に迷い込み、小春丸と出会った。
小春丸が生きていることを、敵が知れば命を狙われる。死んだことにして屋敷に幽閉されている身である。そうした偽装はいつか見破られることになる。
小夜と小春丸は子狐の傷に治療を施した。

そして何年かが経ち、美しい娘に育った小夜は、自らに〈聞き耳〉の才があり〈闇の戸〉を繕う力があることを知る。霊狐にとってそうした力を持つ小夜は、排除しなければならない存在である。

小夜たちと霊狐が戦わざるを得ないのは、隣接する春名(はるな)ノ国と湯来(ゆき)ノ国がいがみ合っているからである。

小夜に助けられた過去がある野火は、掟に逆らって小夜を助けてしまう。
こうして、小夜と野火はともに命を狙われるようになったのである。→人気ブログランキング

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短編集

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2015年6月23日 (火)

ユトリロとヴァラドン@東郷青児記念館 損保ジャパン日本興亜美術館

ユトリロ単独の美術展ではここまで充実した内容にはならないだろう。ヴァラドンについても同じことが言える。
「ユトリロとヴァラドン展」は、奔放な母と母の愛を渇望する息子のドラマがすべてである。
ユトリロが風景の中に描く人物は「LEGO」の人形のように頼りない。これまでは〈ユトリロはアル中のヘタウマ日曜画家〉くらいに認識していた。そうした画風は、生い立ちや画家になったいきさつ、その後の制作活動に理由があった。

6月○日(日)
スュザンヌ・ヴァラドン(1865年~1938年)が、モーリス・ユトリロ(1883年?1955年)を生んだのは18歳のときで、ユトリロの父親は誰か不明。ヴァラドン自身の父親も不明だという。
ユトリロは、今で言えば、母が育児放棄したネグレクト。祖母に育てられ、小さい頃から薄めたワインを飲まされていたという。
ユトリロは20歳でアルコール中毒になり、その治療の一環として絵を描くようになった。友人は数えるほどしかなく、精神病院への入退院を繰り返していた。

150614

ヴァラドンはサーカスの曲芸師をしていて怪我し、その後絵のモデルで生計を立てているうちに、ドガに絵の才能を見出されたという。
ヴァラドンは自由奔放で男関係は派手、ロートレック、エリック・サティ、ルノアールと恋愛関係にあったという。

1896年に資産家のポール・ムージスと結婚し、生活は落ち着きを見せた。
ところが1909年、息子の友人であり息子より3歳年下の画家志望のアンドレ・ユッテルと交際が始まる。この時、ヴァラドンは44歳、ユッテルは23歳であった。5年後にふたりは結婚することになる。
ムージスとは、1910年に離婚する。
これにより、ユトリロは父の経済的基盤を失い、友人を奪われ、母に裏切られるという悲惨な状況に追い込まれる。

この後、ユッテルが画商としてユトリロの絵を売りさばき、これが結構うまくいったという。ユトリロは精神病院への入退院を繰り返した。この時代の作品は、白を多く使っていて、「白の時代」と呼ばれる。

 

1936年、51歳のユトリロは、ヴァラドンの勧めで、5歳年上の資産家ポーウェル夫人と結婚した。
ヴァラドンが死んだのは1938年である。ユトリロは見る影もなく落ち込んだという。

ヴァラドンの作品は力強く生々しいが、ユトリロの作品は寂しげで弱々しい。それはふたりの人生をそのまま投影しているかのようである。
ヴァラドンは、同時代の画家たち、セザンヌ、ゴーギャンなどの影響を受けたが、ユトリロには影響を受けた痕跡がない。晩年、ユトリロは絵葉書や写真をもとにパリの絵を描いていたという。

期間:2015年4月18日(土)~6月28日(日)

2015年6月19日 (金)

北斎と応為 キャサリン・ゴヴィエ

葛飾北斎(1760年~1849年)の三女・応為の生涯を、カナダ人女性作家が描いた異色の歴史小説。
応為は北齋が40歳くらいのときに生まれ、本書では還暦過ぎまで生きた設定であるが、実際は生没年不詳で資料は乏しい。
応為は雅号、お栄という名だった。
北斎がいつも「おーい、おーい」と呼んでいたので、応為が雅号になったと言われている。
Image_20201130103201北斎と応為
キャサリン・ゴヴィエ
モーゲンスタン・陽子 訳
Image_20201130103202北斎と応為
彩流社
2014年

物語は、寛政の改革(1787〜1793年)の真っただ中から始まる。
老中松平定信は、御触れが大好きで、吉原嫌い、民が嫌い、それゆえ庶民の娯楽は次々と禁止になっていく。
お栄は北斎にくっついて幼少の頃から吉原通いをしていた。
北斎が吉原に行く目的は遊女と遊ぶことではなく、絵の題材を見つけるため。

そんなある日、うわさ通りに美人画の歌麿が投獄される。北斎も安泰ではない。美人画を書いていたし、春画も書いていた。
北斎はお栄を連れて、江戸を離れ、しばらく浦和に滞在する。
なにしろ北斎は、93回引越し、号を30回変えた「ぶっ飛んだ」人物である。

北斎は春画を描くときに、3人の娘を裸にして雛形にしたとか、お栄が16歳のときに式亭三馬の愛人になったとか、お栄とシーボルトとがシェクスピアについて語ったり、シーボルトが北斎を幕府のお抱え絵師と思っていたとか、極めつけは松平定信が北斎と応為のあばら家を訪れ、なにもかも禁止にしたことを詫びたとか、ありそうにないエピソードも交えて、北斎と応為を自在に描き出している。

北斎は60歳の時に中風で倒れた。
その後、驚異的な回復を見せ、『富岳三十六景』さらに『富嶽百景』を世に出した。
著者が強調したいのは、才能がありながら、表に出ようとしなかったあるいは出ることができなかった応為の葛藤である。
北斎も周りも応為の才能を高く評価していたが、儒教的男尊女卑の時代ゆえに、天才絵師応為は不遇だった。

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『吉原格子先之図』(葛飾応為作)の光と影の表現の巧みさは、天才と呼ばれるにふさわしい。
この絵は、明かりの中にいる遊女たちと格子を隔ててこちら側にいる客たちの心の内までが伝わってくる秀作である。→人気ブログランキング

2015年6月16日 (火)

ルドゥーテ「美花選」展@日比谷図書文化館

6月◯日(日)

地下鉄日比谷線の日比谷駅で降りて、日比谷公園内の図書文化館に向かう。

ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ(1759-1840年、ベルギー生れ)は、フランス革命時代にマリー・アントワネット、その後ナポレオンの妃ジョセフィーヌに仕えたボタニカルアートを得意とする宮廷画家。
「花の画家」「薔薇の画家」「花のレンブラント」「バラのラファエロ」などと呼ばれた。

 

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緻密に描かれた花の絵が、同じサイズの額縁に収められ壁にずらりと並んでいるのは壮観である。
それぞれの花のもつ可憐さや妖艶さが強調されて、実物に限りなく近く描かれているものの作り物に見えるのが特徴である。

肉筆画は2点あり、羊皮紙セラムに描かれ、1枚はジョセフィーヌが所有していたものだという。あとは版画集『美花選』に収録された作品。
『美花選』はルドゥーテの水彩画を、版画職人が境界線を引かないスティップル法で版画に再現したもの。スティップル法とは、銅版に無数の細かい点を打って絵の形を作っていく非常に手間のかかる手法だという。

平成27年 4月18日~6月19日

2015年6月15日 (月)

フィッターXの異常な愛情 蛭田亜紗子

タイトルから偏執的な内容を想像しそうだけれど、まったく違う。
起承転結にビシリとはまった連作短編の恋愛コメディである。

広告代理店に勤める32歳の独身OL國枝颯子(さつこ)は会社に向かう交差点の真ん中でノーブラに気づいた。今日会うクライアントは手強い。ブラジャーをしていないことを見破られて、だらしないと烙印を押され破談になるかもしれない。
目に入ったランジェリーショップに入った。

応対したのが、まさかの男のフィッター伊佐次耀。
伊佐次は颯子の高校卒業以来の不摂生な生活をズバズバと言い当てた。
そして勧められるブラジャーを着け商談にむかった。
今までなら難敵クライアントに嫌味を言われっぱなしだったが、颯子は自説をまくし立てた。それが功を奏して商談成立。
その後も伊佐次の勧める下着を身につけ、仕事も人生も良い方向にいくかと思われたが。。→人気ブログランキング

B15a1e1ed4394efc8187c3cbdafd4f58フィッターXの異常な愛情
蛭田 亜紗子(Hiruta Asako)
小学館
2015年

2015年6月12日 (金)

紙の月

かつて、日本で三大銀行詐欺横領事件が起こった。
三大事件とは、滋賀銀行事件(1973年、9億円)、足利銀行事件(1975年、2億1000万円)、三和銀行事件(1981年、1億8000万円)。
いずれも女性銀行員が横領した金を男に貢ぐという、本作と同じパターンである。
原作は角田光代の同名小説。主演の宮沢りえは、第38回日本アカデミー賞(2015年2月)の主演女優賞を受賞した。
Image_20201117114701紙の月(Pale Moon)
監督:吉田大八 
脚本:早船歌江子
原作:『紙の月』角田光代 
2014年 日本 126分

1994年、梅澤梨花(宮沢りえ)はパートから契約社員に昇格した。
美人だから上司の覚えがいい。窓口係(大島優子)から、服装や装飾品が派手になると目をつけられると教えられる。
ベテラン事務員(小林聡美)は、ルール違反やミスに厳しく目を光らせるお目付け役。

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梨花には子供がおらず、夫(田辺誠一)と平凡で穏やかな日々を送っているが、心は満たされていない。
独居老人の家で顔を合わせた孫の大学生・光太(池松壮亮)と、梨花は関係をもってしまう。
化粧品を買ったところ持ち合わせの金額が足りず、梨花は客からの預かり金を借用する。
銀行に戻って、自分の口座から1万円を引き出し元に戻した。これが引き金だった。

梨花は、学費を借金をしている光太に200万円を渡す。
銀行には顧客からの定期の申し込みがキャンセルになったと報告して、手にした200万である。
顧客には、ゴミ箱の証書を拾いアイロンをかけてシワを伸ばし、渡したのである。

そんな折、夫は上海へ転勤することになったが、梨花は同行しなかった。
やがて、家にコピー機を持ち込み、プリントゴッコで実印を偽造し、パソコンで架空の金融商品のチラシを作り、横領する額はエスカレートしていった。
こんなことが続くはずもない。ある日、お目付け役は書類の不備が頻発していることに不審を抱く。→人気ブログランキング

2015年6月10日 (水)

サラバ! 西加奈子

1977年5月、主人公の歩(あゆむ)は、父親の海外赴任先イランで生まれた。 
信頼のおける実直な顔をした父、直感で物事を決めその直感を貫く母、生来、世間に対して反感を抱いている変わり者の姉、そんななかで歩は、幼い頃から良い子として振舞っていた。第152回直木賞(2015年2月)受賞作。
本作は宗教あるいは宗教らしきものが引き起こす矛盾がテーマになっている。

Ebd9837d651642ac886e9a99939a1547サラバ!
西 加奈子
小学館
2014年
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イラン革命(1979年2月)のあと一家は帰国し、大阪に居を構え、歩は小学生になる。
やっかいの権化のような姉は、イランの幼稚園でライアーフォックス(嘘つき狐)と呼ばれていた。小学校では姉にはご神木というあだ名がついた。
姉は父親とはどうにかうまくいっていたが、母親との折り合いはどんどん悪くなっていった。

そして、父親の転勤でエジプトでの生活が始まる。
エジプトに居を移すと姉は落ち着きを取り戻した。
母はヨーロッパ旅行や買い物を楽しだ。歩は日本に帰りたかったが、姉は日本に帰りたがらなかった。
エジプシャンのヤコブと親友になる。
ふたりの間では「サラバ」がなにかにつけ合言葉になった。
ある日、父宛の手紙が届き、それが一家の不幸の始まりとなる。

青年期を過ぎた歩は、つまずきどん底であえいでいた。そんなとき、歩は姉が長年求め続けていたことがなんであるかを知り、自分を取り戻すために行動を起こすのだった。→人気ブログランキング

2015年6月 8日 (月)

バルサの食卓 上橋菜穂子・チーム北海道

本書には、ファンタジー小説『狐笛のかなた』『精霊の守り人』『獣の奏者』『天と地の守り人』などで、著者が発案した料理を実際に作って食し、レシピを紹介し、その料理に関するエッセイが挟み込まれている。バルサは「守り人シリーズ」の主人公で、短槍使いの女用心棒。
Image_20201128152701バルサの食卓
上橋菜穂子  チーム北海道
新潮文庫 2009年

物語に登場する料理を本にまとめるアイデアは、『大草原の「小さな家の料理の本」 ローラ・インガルス一家の物語から』『赤毛のアン レシピ・ノート』『ムーミン・ママのお料理の本』『鬼平料理帖』など、本作以外にもいくつかある。

本書の料理は『南極料理人』で有名な西村淳氏が担当し、そのほか西村氏の奥様や写真担当者などが、チーム北海道として参加している。

各作品に描かれている著者のオリジナル料理は、野趣豊かである。それを西村氏が現代風にアレンジしている。例えば「サンガ牛の炙り焼き」は、アレンジされてエスニック感が漂う「牛肉のローストビーフ風」となる。匂いが漂ってくるようで、その料理が登場する作品を読みたくなる。
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2015年6月 6日 (土)

鹿の王 上橋菜穂子

2014年本屋大賞第1位。日本医師会が主催する第4回日本医療小説大賞を受賞した医療ファンタジー小説。

主人公のヴァンは、飛鹿(ピユイカ)にまたがり〈独角〉の頭として、巨大国家・東乎瑠(ツオル)と戦って敗れ、アカファ岩塩坑で働かされる奴隷となった。
もうひとりの主人公ホッサルはエリート医家の血筋を引き、幼い頃から天賦の才を発揮してきた医師である。

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上橋 菜穂子
角川書店
2014年
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上橋 菜穂子
角川書店

ある夜、岩塩坑を謎の犬たちが襲い、そこにいたすべての人々が傷つけられ伝染病に罹った。
生き残ったのはヴァンと女の赤児だけ。ヴァンは赤児をユナと名づけて育てることにした。夥しい人々が死んだにもかかわらず、ヴァンとユナが生き残ったのはなぜか?

ホッサルは、すべての遺体に噛み傷があることから、死の原因は黒狼熱(ミツツアル)と推定した。
黒狼熱は247年前に大流行し、一国を滅ぼした不治の伝染病である。それ以来の発症がないが、黒狼熱が広がれば未曾有の惨事になることは間違いない。それは何としても防がなければならない。
ホッサルはヴァンとユナが生き延びたのは黒狼熱に対する免疫があるからだと考えた。ふたりに接触し、血を採取して抗体素を抽出しようとするのである。
ホッサルは高いレベルの医療知識と技術を身につけている設定である。

アカファ王が東乎瑠の王を招いて行った御前鷹ノ儀の最中に、黒い犬が襲来し、鷹狩の場は修羅場と化した。
長い歴史の中で民族間のせめぎあいがあった。
虐げられ裏切られたと怨念を抱く一味の陰謀が成就すれば、微妙なバランスを保ってきた大国・東乎瑠とアカファ国の関係が崩れてしまう。
ヴァンやホッサルたちは、再び起こるだろう次の襲撃を阻止しようと手を尽くすのである。→人気ブログランキング

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2015年6月 2日 (火)

長野温泉 嵐溪荘

5月○○日(SAT SUN)

高速の三条燕インターを降りて、渋滞する三条市街を抜け国道289号に入り、県道に曲がり、さらに山の方に進み長野温泉嵐溪荘にたどり着いた。
カーナビがなければ迷いそうなところだ。
いかにも古い温泉宿の趣でテンポがゆったりしている。部屋の窓からは、護岸された守門川や切り立った山肌が見え、郭公や蜩の鳴き声が聞こえた。

ひと風呂浴びると、そろそろ宴会が始まる時刻になった。
大広間におよそ40名がお膳の前に座り、数名のあいさつが終わる頃に、女将が現れた。
薄い色の和服に身を包み髪をアップに決めた女将が口上を述べた。
「このあたりは、かつては海で数千年前の地殻変動で陸になった」とか。「だから温泉は塩泉で肌がすべすべになります」とのこと。
女将の後ろには、タイトスカートに身を包んだ5人のコンパニオンが正座していて、女将と同じに三つ指をついてお辞儀をした。
とんでもなく違和感があったが、それはアルコールが入ると気にならなくなった。
宴会のメニューは、これでもかの山菜尽くしと、鯉の洗いとイワナの塩焼き、さらに和牛のステーキがついた。

---
なにしろ10時半に寝たものだから、4時半に目が覚めた。風呂に行くと露天風呂に先客がひとりいて、外は雨が降っていた。誰もいない湯船にどっぷりつかって、少ししょっぱいお湯を口に入れた。湯の注ぎ口には、「湯を沸かして巡回しているので飲まないでください」の注意書きがあった。口を濯げば大事にならないだろう。
部屋に戻ると、まだ5時10分。ひとりは風呂へ行っていて、ふたりは寝息を立てて熟睡中である。予定表を見たら、なんと朝食ははるか未来の8時だった。

とりあえず部屋に備え付けの緑茶を入れて、ずずっとすすった。
布団を敷くために隅に寄せられたテーブルの上には、茶色の温泉まんじゅうが2個あるが、ここは断固手を出さないことにして、緑茶を3杯飲んで空腹を紛らわした。
出てくるときに、書店で購入した『鹿の王・下』をめくりながら時間をつぶした。
運の悪いことに、ファンタジー小説なのにやたら食べ物の描写が多い。

7時40分頃になると部屋の電話器がチリチリチリと遠慮がちに鳴り、「すわ何事」と受話器を取ると、「お食事の準備が出来ましたので、昨夜の宴会場にお越し下さい」との吉報だった。

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朝食はご覧のとおり。
給仕の仲居さんの「ご飯のお代わり、いかがですか」を、断腸の思いで断ったのが正解だった。
何しろ量が多い。今までホテルの朝食バイキングや旅館のお櫃付き朝食で、再三食べ過ぎて痛い目にあってきたので、ちょっと成長したのだ。
なお、山菜の直売所は帰り道に3カ所あるが、山菜の時期は過ぎているという。

秘湯にカテゴラズされる温泉宿に求められるのは、「鄙びている」こと、「お湯にありがたみがある」こと、「できる限り和風である」こと、「料理に地物の食材がふんだんに使われ、しかも旨い」こと、「親切だが過干渉でない」こと、さらに「快適である」ことなどだが、嵐溪荘はこれらの項目をクリアしていた。

嵐渓荘
新潟県三条市長野1450
0256-47-2211

2015年6月 1日 (月)

Lucy/ルーシー

人間の脳は10%しか使われていない。
そのパーセンテージが20%や30%に増えるとどうなるのか?
台北で、ルーシー(スカーレット・ヨハンソン)は、アタッシュ・ケースをホテルに届けるように頼まれ、韓国マフィアに拘束されてしまう。そして、アタッシュ・ケースに入っていた新型麻薬を、手術で下腹部に埋め込まれ運び屋にされてしまった。
Image_20210118121501LUCY/ルーシー
監督:リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン
音楽:エリック・セラ
フランス  2014年  89分 

一方、脳科学者の権威ノーマン博士(モーガン・フリーマン)は、覚醒脳のパーセンテージが上がると、人間はどうなるかを研究していた。

運び屋として空港に向かう途中で、男から暴行を受け体内の袋が破れて新型麻薬が流れ出し、ルーシーの脳は20%が覚醒した。
一瞬にして超人的な能力が身についた。
テレキネシスで暴行をふるった男をぶちのめし、映像記憶でほかの運び屋の航空チケットから行き先を割り出し、パリ警察に運び屋の情報を通報した。
テレポテーションでノーマン教授に会いに行き、覚醒脳のパーセンテージが増えると人智を超えた能力が備わることを披露した。
ところがパーセンテージの増加を止めることができなくなり、徐々にルーシーの人間性は失われ、自分でコントロールできない状態になっていった。

そして、マフィアたちが新型麻薬を取り戻そうとやって来たときに、ルーシーの脳は100%覚醒したのである。

宇宙創生、地球誕生、生命誕生、進化の過程、類人猿の誕生、脳を10%しか使ってない人間がいる現在までの映像を、時間を逆戻りさせて挿入している。
ビッグバンからの時間軸に、今より進化した人間としてルーシーを描いている。→人気ブログランキング

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