紙の月
かつて、日本で三大銀行詐欺横領事件が起こった。
三大事件とは、滋賀銀行事件(1973年、9億円)、足利銀行事件(1975年、2億1000万円)、三和銀行事件(1981年、1億8000万円)。
いずれも女性銀行員が横領した金を男に貢ぐという、本作と同じパターンである。
原作は角田光代の同名小説。主演の宮沢りえは、第38回日本アカデミー賞(2015年2月)の主演女優賞を受賞した。
紙の月(Pale Moon) 監督:吉田大八 脚本:早船歌江子 原作:『紙の月』角田光代 2014年 日本 126分 |
1994年、梅澤梨花(宮沢りえ)はパートから契約社員に昇格した。
美人だから上司の覚えがいい。窓口係(大島優子)から、服装や装飾品が派手になると目をつけられると教えられる。
ベテラン事務員(小林聡美)は、ルール違反やミスに厳しく目を光らせるお目付け役。
梨花には子供がおらず、夫(田辺誠一)と平凡で穏やかな日々を送っているが、心は満たされていない。
独居老人の家で顔を合わせた孫の大学生・光太(池松壮亮)と、梨花は関係をもってしまう。
化粧品を買ったところ持ち合わせの金額が足りず、梨花は客からの預かり金を借用する。
銀行に戻って、自分の口座から1万円を引き出し元に戻した。これが引き金だった。
梨花は、学費を借金をしている光太に200万円を渡す。
銀行には顧客からの定期の申し込みがキャンセルになったと報告して、手にした200万である。
顧客には、ゴミ箱の証書を拾いアイロンをかけてシワを伸ばし、渡したのである。
そんな折、夫は上海へ転勤することになったが、梨花は同行しなかった。
やがて、家にコピー機を持ち込み、プリントゴッコで実印を偽造し、パソコンで架空の金融商品のチラシを作り、横領する額はエスカレートしていった。
こんなことが続くはずもない。ある日、お目付け役は書類の不備が頻発していることに不審を抱く。→人気ブログランキング
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