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2015年8月

2015年8月31日 (月)

ボルドー展@国立西洋美術館

ボルドー地区の旧石器時代から現代までを、年代順に紹介している。
安倍晋三首相がボルドー展を鑑賞中に体調が悪くなり、公用車で信号をすべて青にさせて、渋谷区富ヶ谷の自宅に急行したという(『週刊文春』2015年8月27日号)。
本当か?

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まずは、旧石器時代(2万5千年前)の『角を持ったヴィーナス(ローセルのヴィーナス)』の浮彫り(レリーフ)が展示されている。
古代人のおおらかさが表れている。日本でいえば土偶にあたるのだろうか。
クロマニョン人によって描かれた有名なラスコー洞窟の壁画がアキテーヌ地区にあり、アキテーヌ地方の中心地がボルドーである。

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紀元前1世紀頃に、ワインの産地としてのボルドー歴史が始まる。
この頃、ワインの運搬に使われた陶器(アンフォラ)が展示されている。
音声ガイダンスでは、アンフォラには20リットルのワインが詰められ、その値段は奴隷一人分に相当したという。どう捉えたらいいのか、高価だったといいたいのだろうか。

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ルネッサンス期、ボルドーはワインの産地および集積地として大いに栄えた。
また、キリスト教の聖地スペインのサンディアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路の町としても栄えるのである(『星の旅人たち』2010年、エミリオ・エステヴェス監督)。
ところが、12世紀から15世紀までの約300年の間、ボルドー地区はイギリス領になってしまう。
レリーフはイギリス両時代のボルドー市の紋章である。

エレアノール(アリエノール・ダキテーヌ、1122~1204年)は、1137年父ギヨームが亡くなるとアキテーヌ地方を含むフランスの国土1/3を相続し、後見人のルイ6世によりルイ7世と結婚させられた。15歳のエレアノールは父の死から4ヶ月足らず、フランス王妃となった。
1152年にふたりは離婚する。ところが、エレアノールは離婚の後3カ月で、11歳年下のノルマンディー公アンリと再婚してしまう。
その後アンリがイングランド王を継承しヘンリー2世となったことで、アキテーヌ地区を含むフランス国土の半分以上がイングランド領となってしまう。
このことが、後の100年戦争(1337~1453年)の火種になるのである。

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18世紀、ボルドーは交易とワイン産業を通じて黄金期を迎える。
ボルドーが「月の港」と呼ばれるのは、ボルドー市内で三日月形に湾曲しているガロンヌ川沿いにボルドーが発達したことによる。その繁栄の様子は、展示されている『ボルドーの港と河岸の眺め』(1804~06年、ピエール・ラクール〈父〉)に描かれている。

かつて、ボルドーの5大シャトーのエチケットが同じだったという。
ボルドーに集積されたワインを、ワイン業者(ネゴシアン)が調合して、エチケットを貼って販売したことによるという。
ちなみに、ボルドー5大シャトーとは、1855年のパリ万国博覧会で格付けされたシャトー・ラフィット・ロスシルド、シャトー・マルゴー、シャトー・ラトゥール、シャトー・オー・ブリオンと、18973年の格付けで昇格したシャトー・ムートン・ロスシルド。

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ボルドー地区の誇りは、思想・文学の分野に「3M」を輩出していること。
「3M」とは、まずは、ミシェル・ド・モンテーニュ(1533~1592年)。寛容の精神を説いたフランスルネッサンスを代表する思想家で、ボルドー市長も務め、『エセー(随想録)』を執筆している。
次は、シャルル・ド・モンテスキュー(1689~1755年)。絶対王制を批判し『法の精神』で三権分立を唱えた啓蒙思想家。
そして最後は、フランソワ・モーリヤック(1885~1970年)。『テレーズ・デスケルウ』『愛の砂漠』などを書き、1952年にノーベル文学賞を受賞した作家。

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ウジェーヌ・ドラクロア(1798~1863年)は、父親がジロンド県知事を務めていたので、子供のころボルドーで暮らした。そのよしみで、政府の要請でパリ万博用に描いた大作『ライオン狩り』(1855年)を、万博のあとボルドー美術館に寄贈したという。ところが不運なことに美術館が火事になり、『ライオン狩り』の上の部分は焼けてしまった。
幸か不幸か、のちに印象派の異端児と呼ばれるボルドー出身のまだ学生だったオディロン・ルドン(1840~1916年)が、『ライオン狩り』を、模写していたのである。これによって『ライオン狩り』の上の部分に何が描かれていたのかがわかる。
大きさがまったく異なるふたつの作品が並んで展示されている。→人気ブログランキングへ

ボルドー展 ー美と陶酔の都ー
国立西洋美術館
2015年6月23日~9月23日
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国立西洋美術館の常設展にも見逃せない作品がある。

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2015年8月26日 (水)

クレオパトラとエジプトの王妃展@東京国立博物館

入り口には、毒蛇に腕を噛まれて横たわるクレオパトラのブロンズ像(1852~1853年、ダニエル・デュコマン・ドゥ・ロクレ作)が置かれている。

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よく知られていることだが、クレオパトラは飛び抜けた美貌の持ち主で、何ヶ国語もあやつる頭の良い女性だったという。
他の王妃たちも多数紹介されているが、クレオパトラが中心で、その他多数の王妃という構図になっている。

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古代エジプトでは、女性の地位は結構高かったようで、王妃は絶対権力者の王ファラオの手助けしたり、国を動かしたりしていた。
ファラオの母の地位も高かく、ハーレムには王妃や母親だけでなく、乳母やハーレムを管理する男たちも住んでいたという。
王や王妃たちが、実際に使ったり身につけたりした、王冠、椅子、ベッド、装飾品、ネックレス、胸像、王妃のマスク、棺、石板だの多数が展示されている。
ネックレスや腕輪などの装飾品が多いのが特徴である。

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首から上のクレオパトラのふたつの石像が、どちらも鼻が欠けていることに、「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史も変わっていたであろう」 というパスカルの言葉が思い浮かんで、つい苦笑してしまった。

最後に展示されていたのは、アッキーレ・グリセンティ筆の『クレオパトラの死』(1878~1879年)。
右手に毒蛇をつかみ、白目をむいて、豹の毛皮を敷いたベッドに横たわる艶かしいクレオパトラが描かれている。
クレオパトラの死でプトレマイオス朝は最期をむかえた。→人気ブログランキングへ

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【クレオパトラと古代エジプト】(朝日新聞号外より)
前304年  プトレマイオス朝始まる
前  69年  クレオパトラ7世誕生
前  51年  父が死去、弟と共同で王になる
前  48年  弟に追放されシリアに逃げる
前  47年  カエサルの協力を得て再びエジプトの王に
               カエサルとの間にカエサリオンが生まれる
前  44年  カエサル暗殺
前  41年  トルコでローマの将軍アントニウスに会う
前  31年  アクティウムの海戦でオクタウィアヌスに敗北
前  30年  アントニウスの死を追い自殺(8月12日)

クレオパトラとエジプトの王妃展
東京国立博物館
2015年7月11日~9月23日

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東京駅ラーメンストリートの【斑鳩】へ。
一番人気が「東京駅らー麺」と券売機に書かれているので、それを1000円で購入。
数分、店外で待った。
麺はストレートの細麺、柔らかい穂先メンマが旨い。
チャーシュウはバラで脂身が多いが柔らかく肉の旨味あり。
半熟煮卵はちょうどいいくらいの薄味。スープは少し油っこいな。
★★★★。

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2015年8月18日 (火)

英国の夢 ラファエル前派展@新潟市美術館

リバプール国立美術館所蔵のラファエル前派およびその周辺の画家たちの作品70点が展示されている。
新潟市美術館開館30周年を記念した企画。

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ラファエル前派(Pre-Raphaelite Brotherhood)とは、イタリア・ルネッサンスのラファエル以降の規範に縛られた美術からの解放を目指し、それ以前の素朴で真摯な画風を追求した集団のこと。19世紀後半のイギリスにおける芸術運動である。
1848年、イギリス王立美術学校の生徒だったダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハント、ジョン・エヴァレット・ミレイの若者3人によってラファエル前派は結成された。
ギリシャ神話や聖書、中世の伝説や文学から題材を得て、自然の細部を忠実に描写することに重きをおいた。
ラファエル前派の理論的支柱になったのが、『近代画家論』を書いた当時のイギリスを代表する美術評論家のジョン・ラスキン(1812〜1901年)。ラスキンは、批判されたラファエル前派を擁護した。

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ラファエル前派が活躍した時代は、ちょうどビクトリア時代(1837〜1901年)に重なる。この時代は、イギリスの産業革命による経済の発展が成熟したときであり、イギリス帝国の絶頂期であった。
一方、19世紀後半といえば、フランスでは印象派が活躍した。
ラファエル前派と印象派は、「それまでのアカデミーの権威主義に反発した」という点で類似しているが、目指すところは著しく異なった。

所詮、ラファエル前派は絵画史における「あだ花」、「復古」という名の小休止である。創始者のひとりミレイは、1853年にアカデミーの準会員なったことで数年後にグループは解散してしまった。また、ロセッティとハントは仲間うちの女ジルダを争奪しあい仲違いした。
一方、ミレイはラスキンの妻エフィと恋仲になってしまい、エフィは歳の差があったラスキンと離婚しミレイと再婚した。
まったくもってTVの昼のメロドラマに劣らずドロドロしている。
去年(2014年2月2日~4月6日 )、森美術館で開かれた「ラファエル前派展」では、このあたりの事情に触れていたが、本美術展ではほとんど触れられていない。
グループとしての活動は短いが、絵画運動は続いた。

本美術展で印象に残ったのは、エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズの巨大な水彩画『レバノンの花嫁』(358×712cm、1891年)、水彩でこのサイズ、迫力がある。→人気ブログランキングへ

→【2014.04.02】ラファエル前派展

英国の夢 ラファエル前派展(2015年7月19日〜9月23日)
新潟市美術館
新潟市中央区西大畑5191-9

2015年8月15日 (土)

『untitled』ロッカクアヤコ@軽井沢現代美術館

国道18号から少し入ったところにある軽井沢現代美術館に来たのは2回目。
出迎える白い巨大なハリボテは奈良美智の作品、そのペコちゃんの頭ようなオブジェの横に、「写真撮影は可。但し、人物を入れることフラッシュは焚かないこと」と、ほかの美術館ではお目にかからない寛大な立て札がある。

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8月◯日(FRI)
今回の目的は、ロッカクアヤコの作品をもう一度見ること。
ロッカクアヤコの2点のアクリル画のとなりに、略歴が貼られていた。

独学で絵画技法を習得し、公園や路上にて筆を使わず、指にアクリル絵具を付けて直接段ボールに描く独特のスタイルを確立する。村上隆主催のGEISAIで「スカウト賞」や「後藤明男賞」を受賞し、注目を集める。独自の技法はヨーロッパで驚きの目で迎えられ、2006年スイスのアートバーゼルでのライブペインティングで100枚以上描き完売となる。
現在はベルリンにアトリエを持ち、アムステルダムのギャラリーを拠点に活躍している。2010年にはアニメーション制作「みんなのこと」を約二年半の歳月をかけて完成させた。なぜ段ボールに指〈素手)なのかという質問に対し「段ボールは簡単に持ち運べて安い。その反面筆は洗うのが面倒で高い。」と答えている。ロッカクアヤコにとって絵を描くことは、"生きていくための原動力"そのものであると言っていい。

去年ここへ来たとき、2階の展示スペースには、ルイヴィトンやディズニーとコラボした村上隆の作品や、岡本太郎のミロ風の作品、草間彌生の作品とともに、ロッカクアヤコのリトグラフが、値札付きで並んでいたのだが、それが見当たらない。
訊ねると1階に移したという。売れないので場所を変えたということだろうか。

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2階を見終わって1階に降りると、グッズ販売兼喫茶室の壁に飾られている『untitled』には、25万円の値札がついていた。そこはプライベートエリアへの入り口で、スモークガラスのドアの向こうでは、犬がぐずって吠えていた。

ロッカクアヤコには『untitled』というタイトルの作品がいくつかあるが、この『untitled』には自由奔放で天真爛漫な少女が描かれている。「私はね、だれがなんと言おうと勝手にさせてもらいますからね」と目と体で訴えている少女からは、幸運をもたらしてくれそうなオーラが漂ってきた。

ロッカクアヤコ(Bonny ColArt)
→【2014.05.05】千住博美術館/軽井沢現代美術館

軽井沢現代美術館
長野県北佐久郡軽井沢町長倉2052-2

2015年8月14日 (金)

変見自在 オバマ大統領は黒人か 高山正之

現在も、『週刊新潮』で連載中の超辛口コラム「変見自在」を単行本に収録したものの文庫化。
収録されているのは、2007年7月8日から2008年9月25日までの記事。
筆者は元毎日新聞記者。右寄りだから話は回りくどくない。
Image_20201119185301変見自在 オバマ大統領は黒人か
高山 正之(Takayama Masayuki
新潮文庫
2015年

日本が間違っていて、中国や韓国が正しいと主張する朝日新聞のいくつかの記事を取り上げ、論理的な不備や誤謬をを指摘し、新聞社としての資質がないと痛烈に批判している。
南京大虐殺も従軍慰安婦もでっち上げが一人歩きしているとする。

著者は、未だにひとつの国家に戻れず内輪もめを繰り返す隣の国に、ことさら手厳しい。劣等民族だと言っている。それと、中国人は嘘はつくし非道なことを平気でやる民族だと言ってはばからない。
ロシアもオーストラリアもアメリカについても、日本や世界に対してやってきた理不尽なことを暴いている。

本書のタイトルである「オバマ大統領は黒人か」の答は「否」である。
白黄黒の順に肌の色で人間を序列する白人たちは、一滴でも自分たちの血が入っていれば、半分家畜が2階級特進して準白人になるとしている。オバマは母方が白人だから、黒人ではないという。→人気ブログランキング

2015年8月11日 (火)

塩一トンの読書 須賀敦子

「塩一トンの」とは、著者のイタリア人である姑が使った言葉。
姑は、「ひとりの人を理解するまでには、すくなくも一トンの塩をいっしょに舐めなければだめなのよ」と言ったという。長く付き合わないと人はわからないという意味だろう。あるいは、つきあっていても1トンの塩を一緒に舐めることなぞ到底できないから、他人は理解できないという意味が含まれているかもしれない。ユニークで含蓄がある言葉だ。
Image_20201129205601塩一トンの読書
須賀 敦子(Suga Atsuko
河出文庫  2014年

著者はこの言葉を読書に用い、自分でじっくりと読まなければだめだという。特に古典は、読まずとも情報が入ってきて筋を知ることがあるが、自分で読まなければ著者が強調したいことなど細かい機微ははわからない。

著者の読書案内には、広さと深さと落ち着きがある。地に足が着いている感じが伝わってくる。
それは、著者が「塩一トンの」と形容される読書を実践してきたからだろう。

マルグリッド・ユルスナールの名著として名高い『ハドリアヌス帝の回想』や『黒の過程』について、〈そのただごとではない見事な文体や、抑制のきいた語り、そしてなによりも、作品の背後にあってこれらに燻し銀の光沢をそえているヨーロッパ文化の深さ、まばゆさを心から愉しんでいる自分に気づいた。〉という下りを読んで、よくぞここまで的確に解説してくれるなと思った。

著者はイタリア文学が専門ゆえ、紹介されている本はヨーロッパのものが多い。ギリシャやローマの古典を紹介している。
また、翻訳が少なく馴染みの薄いラテンアメリカの本を紹介してくれるところがありがたい。
ベストセラーとは無縁の本が取り上げられているのもいい。→人気ブログランキング

2015年8月 7日 (金)

伊賀忍法帖

下克上の代名詞とされ、稀代の大悪人といわれる武将・松永弾正久秀を裏の主人公として登場させている。
摩訶不思議な忍術あり、勢力争いあり、悪党の淫靡な策略あり、純愛ありの忍者エンターテイメント。1964年に執筆された。
実在の名品「平蜘蛛茶釜」がこの物語の鍵を握る小道具である。
女の愛液を「平蜘蛛茶釜」で煮詰めて作った秘薬・淫石を、茶に混ぜて女に飲ませると、飲んだ直後に目にした男に対して女は肉欲の本能がむき出しとなるという。
C8f4df2600084dd9bb419aebb6324119伊賀忍法帖
山田 風太郎(Yamada Huhtarou
講談社文庫 
1999年

京都を支配する三好義興は強大な力をもつが、父が病床に伏している。
松永弾正は魔将のような男。
弾正は義興に仕える身ながら、義興の妻・右京太夫を自分のものにしようと企んでいる。さらに義興に反旗を翻す機会を狙っている。
弾正の家来には、幻術師果心居士の愛弟子である7人の忍法僧がいて、忍法僧たちは右京太夫に淫石茶を飲ませることを弾正に進言した。
弾正の支配下にある柳生の庄の主・柳生新左衛門は、表向き弾正を立てているが、悪行を許しがたいと思っている。

修行に出た伊賀の忍者・主人公の笛吹城太郎は遊女・篝火と恋に落ち夫婦の契を交わした。
篝火に忍法を会得させ、伊賀の里に帰ってきたのだが、伊賀の掟は他者を排除する勁列なもの。
忍法僧によってさらわれた篝火は、弾正の愛妾・漁火と「忍法壊れ甕」によって、上半身と下半身が入れ替えられ、篝火の顔に漁火のからだをもつようになった漁火は、弾正を凌駕するような魔女になる。

篝火を失った城太郎は忍法僧すべてを倒さなければ、伊賀の里に戻ることが許されないのだった。

妖説忠臣蔵/集英社文庫/2014年
忍法忠臣蔵/角川文庫/2014年
明治断頭台/文春文庫/2012年
伊賀忍法帖/講談社文庫/1999年
くノ一忍法帖/講談社文庫/1999年
甲賀忍法帖/講談社文庫/1998年
ラスプーチンが来た/文藝春秋/1984年

2015年8月 5日 (水)

流(りゅう) 東山彰良

第153回直木賞(2015年7月)受賞作。
祖父を殺した犯人を探し続ける主人公の波乱に満ちた無軌道な青春を描く。
殺人事件の背景には、日中戦争下における国民党と共産党の壮絶な抗争があった。
Image_20201218091701流(りゅう)
東山 彰良(Higashiyama Akira
講談社
2015年

1975年、台湾、蒋介石が亡くなった次の月、16歳の葉秋生(イエ・チョウシェン)は祖父が仕事場の浴槽に沈められて殺されているのを発見した。
犯人は怨恨絡みが考えられ、広東人だろうと思われた。
台北一の進学校に通っていた秋生は、替え玉受験を引き受けばれてしまう。
台湾で一番レベルの低い高校に転校させられた。
そこで不良たちとやりあう無軌道な日々を送る。香港映画を思わせる格闘シーンがある。受験が近づくと、少しは勉強するかと思いきや、しない。
案の定、志望校に合格せず、仕方なく陸軍学校に入ったものの、シゴキが耐えられず、中退する。
行くところがなくなった秋生は2年の兵役に。

兵役を終えると、親戚の会社に勤め無軌道な生活から軌道修正した。
そして、前から秋生が想いを寄せていた幼馴染の毛毛(マオマオ)と恋仲になるが、思い通りにはいかない。
やがて、祖父を殺した人物の目星がつくと、秋生は危険を顧みず中国に渡ることを決意するのだった。

冒頭、1984年3月、秋生は山東省の青島国際空港に降り立ち、祖先が暮らしていた土地に向かった。村の外れに立つ石碑には、1943年に、祖父がこの地で行ったことが刻まれていた。風雪に晒されて一部の文字が判読できなくなった石碑は、まるで祖父の人生を象徴しているかのようである。→人気ブログランキング

→『火花』又吉直樹 第153回芥川賞受賞作

2015年8月 2日 (日)

恋の罪

雨の夜、渋谷円山町のラブホテル街の安アパートで、首から上と下腹部から大腿までの2か所が、マネキンで置き換えられた腐乱死体が発見される。
この猟奇殺人事件の背景が明かされストーリーが展開されていく。
三人の主人公が過激な裸の演技を見せる。女性の〈性欲〉がテーマ。
Image_20210107115201 恋の罪
Guilty of Romance
監督・脚本:園 子温
音楽:森永泰弘
日本  2011年  144分

現場に駆けつけたのは辣腕と評判の女刑事吉田和子(水野美紀)。
夫と娘の三人で一見平和に暮らす和子は、夫の後輩に暴行された過去があり、性的なトラウマを引きずっている。

Photo

一方、菊池いずみ(神楽坂恵)は売れっ子作家と結婚したものの、夫に盲目的に仕える奴隷のような生活から抜け出せないでいる。豊満な肉体を持て余しているかのよう。
いずみはスーパーのソーセージ売り場のパートを始める。

母親との確執からか、母親がいうように隠微な父親の血を受け継いだせいか、大学教授の尾沢美津子(富永真)は、夜は円山町界隈で売春婦としておぞましい生活を送っている。
「愛のないセックスは金を取る」が美津子の口癖。
大学で講義を受け、美津子の主張に傾倒したいずみを、美津子は売春婦に引き込もうとする。→人気ブログランキング

【園子恩監督の作品】
地獄でなぜ悪い(2013年)
希望の国(2012年)
ヒミズ(2012年)
恋の罪(2011年)
冷たい熱帯魚(2011年)
紀子の食卓(2006年)

2015年8月 1日 (土)

虚空の旅人

新ヨゴ皇国の帝の名代として、チャグムは星読み博士のシャガを伴って、サンガル王国の〈新王即位ノ儀〉に参列するために王都に向かった。
本作は女用心棒のバルサは登場せず、チャグムに焦点が当てられた外伝の形をとっている。チャグムは皇太子としての資質を試される場面に何度か遭遇し、それを見事に切り抜ける。
将来、チャグムはきっと名君になるだろう。
Photo_20210216083301虚空の旅人
上橋菜穂子(Uehashi Nahoko
新潮文庫
2008年

多数の島を領土として抱えるサンガル王国の統治のシステムは、王家の娘たちを島守り達に嫁がせ、島守りを監視させる。島守りにふさわしくないとなれば、嫁たちの会議で討議し、離婚となることもある。王家の女たちが国政を左右してきたのだ。

一方、海に漂い家船で暮らすスリナァは、南の大陸のタルシュ帝国の斥候船に出くわし父や弟妹と離れ離れになり、ひとり無人島にたどり着いた。そこで、タルシュ帝国がサンガル王国を攻めようとしていると知らされた。スリナァは、幼い頃、海で潜って遊んだタルサン王子にサンガル王国の危機を伝えようと王都に向かう。

〈新王即位ノ儀〉で、第二皇子のタルサンが〈恐怖の銛〉を新国王になる兄カルナン王子に向けて投げつけ、ケガを負わせる惨事が起こった。タルサンは牢に入れられ帝に死刑を宣告される。
人身御供の少女〈ナユーグル・ライタの目〉になりすました呪者が、タルサンに呪いをかけ、惨事を引き起こさせたのだった。
呪いと見破ったチャグムとシャガは、力を合わせて呪者と対峙し、タルサンの汚名をはらそうとする。
おりしも、タルシュ帝国は島守りを懐柔して味方につけ、サンガル王国に攻め込む謀略が始まっていた。→人気ブログランキング

精霊の守り人
闇の守り人
夢の守り人
虚空の旅人
神の守り人来訪編
神の守り人帰還編
蒼路の旅人
天地の守り人 第1部 ロタ王国編
天地の守り人 第2部 カンバル王国編
天地の守り人 第3部 新ヨゴ皇国編
獣の奏者1 闘蛇編
獣の奏者2 王獣編
獣の奏者3 探求編
獣の奏者 外伝 刹那
流れ行く者 守り人短編集
バルサの食卓
孤笛のかなた
鹿の王
水底の橋 鹿の王 

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