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『塩一トンの読書』須賀敦子

「塩一トンの」とは、著者のイタリア人である姑が使った言葉。
姑は、「ひとりの人を理解するまでには、すくなくも一トンの塩をいっしょに舐めなければだめなのよ」と言った。長く付き合わないと人はわからないという意味で使ったのだ。ユニークで説得力がある表現だ。

塩一トンの読書 (河出文庫)

塩一トンの読書

posted with amazlet at 15.08.10
須賀 敦子(Suga Atsuko
河出文庫  2014年10月 ★★★★★

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著者の読書案内には、広さと深さと落ち着きがある。地に足が着いている感じが伝わってくる。
それは、著者が「塩一トンの」と形容される読書を実践してきたからだろう。

マルグリッド・ユルスナールの名著として名高い『ハドリアヌス帝の回想』や『黒の過程』について、〈そのただごとではない見事な文体や、抑制のきいた語り、そしてなによりも、作品の背後にあってこれらに燻し銀の光沢をそえているヨーロッパ文化の深さ、まばゆさを心から愉しんでいる自分に気づいた。〉という下りを読んで、よくぞここまで的確に解説してくれるなと思った。

著者はイタリア文学が専門ゆえ、紹介されている本はヨーロッパのものが多い。ギリシャやローマの古典を紹介している。
また、翻訳が少なく馴染みの薄いラテンアメリカの本を紹介してくれるところがありがたい。
ベストセラーとは無縁の本が取り上げられているのもいい。

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