吉原花魁 縄田一男編
吉原の花魁にまつわる短篇を集めたアンソロジー。
著者は、隆慶一郎、平岩弓枝、宇江佐真理、杉本章子、南原幹雄、山田風太郎、藤沢周平、松井今朝子の、時代小説の達人8人。
読み応えのある傑作ぞろいであるが、『張りの吉原』(隆慶一郎)、『紫陽花』(宇江佐真理)、『爪の代金50両」(南原幹雄)の3作品が、吉原らしいストーリーで、メリハリがあり特に出来がいいと思った。
吉原花魁 縄田一男編 角川文庫 2009年 |
『張りの吉原』隆慶一郎
「張り」とは、「突っ張っている」という意味。吉原花魁の「張り」を知りたいと、大阪の太夫だった花扇は思った。16歳で太夫になり18歳で堺の大商人に根引きされ内儀に収まり、20歳のときに旦那がぽっくり腹上死した。
花扇は店の者を集め、1年だけ暇をくれと大阪をあとにした。
「張り」がなんであるか知りたいとの花扇の申し出に、吉原の西田屋の又左衛門は、彼女を太夫・総角(あげまき)の番頭太夫にした。
そして、花扇は総角の秘密を知るにいたり、ついに「張り」がなんであるか突き止めた。
『紫陽花』宇江佐真理
花魁だったお直は、近江屋の半兵衛に身請けされ、なに不自由のない内儀の生活を送っていた。ある日、偶然に客引きの辰吉に出会い、奴女郎の梅ヶ枝の死を知らされ、棺を見送ると約束する。紫陽花の咲く雨の中、半兵衛とともにお直は梅ヶ枝を見送った。
そして、半兵衛からお直の知らない梅ヶ枝を知らされる。
『爪の代金50両』南原幹雄
木曾屋の徳次郎が花魁・豊鶴の身請けの 起請に剥いだ爪をもらい、50両を工面してやった。ところが強欲な豊鶴は自分の爪を送ったのではなかった。徳次郎と豊鶴が大喧嘩をして、徳次郎は大江戸への出入り禁止となる。徳次郎は50両の勘定が残っていた。
付き馬屋のおえんは借金の取り立て屋。おえんは大江戸やから50両の取り立ての依頼を受ける。引き受けた以上、必ずや取り立てるつもりだ。
しかし、徳次郎は一筋縄ではいかなかった。→人気ブログランキング
« 元素生活 寄藤文平 | トップページ | ニキ・ド・サンファル展@国立新美術館 »
「時代小説」カテゴリの記事
- 壬生の女たち 藤本儀一(2023.06.19)
- 一刀斎夢録 浅田次郎(2022.03.07)
- 仇討検校 乾禄郎(2022.01.19)
- 五郎治殿御始末 浅田次郎(2021.06.24)
- 藍染袴お匙帖 藁一本 藤原緋沙子(2021.05.03)
コメント