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『はじめての不倫学』坂爪真吾 

不倫について、心理学的アプローチを極力排し、社会学的見地から分析するのが本書の目的。不倫は当人だけでなく家族や職場にも影響を及ぼし不利益をもたらす。だから予防が必要であるという。

はじめての不倫学 「社会問題」として考える (光文社新書)
坂爪真吾
光文社新書 
2015年8月

著者は不倫をウイルス感染にたとえている。
不倫の被害を減らすには、いつどこで感染しやすいかを知り、感染を減らすための予防ワクチンを開発し、感染した場合は重症化をどう防ぐか、また周りへの被害拡大をどうすれば抑えられるかを検討するという。

まずは当たり障りのないところで、配偶者との性生活が充実したものであればワクチンになりうる。そのために妻がエロティックになるエロ活をせよと説く。
次に、オープンマリッジ、スワッピング、高級会員制交際クラブについて、ワクチンになりうるかを検証しているが、オープンマリッジ、スワッピングはインモラルな要素が多分にあり、交際クラブは違法性を否定できない。

オープンマリッジの進化した形であるポリアモリーは、複数恋愛を容認し婚外性交を認めることである。ポリアモリーには、守らなければならない事項がいくつかあり、それを守る限り不倫ワクチンになりうるとしている。

著者の結論は次のとおりである。
法律で規定されている一夫一婦制を守るためには、信号の黄色に相当する婚外性行為、つまりグレーゾーンを社会的に認めることがワクチンになりうると主張する。青や赤だけでは事故が起こる。
<現行の夫婦関係を維持するための(=不倫ワクチンとしての)ポジティブ婚外セックスは、条件付き(期間限定・回数限定)で社会的に受容されるべき」となる。受容されるための条件とは、「個人間の関係ではなく、システム=文化制度の下で行うこと」「対象と回数を限定して行うこと」の2点である。>

婚外性交渉を社会に是認させようとする論調は、条件を設けたところで、大方には受け入れられないだろう。
あとがきで、本書も不倫ワクチンであると書く著者の自信のありように、脱帽する。→人気ブログランキングへ

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