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『現代アメリカ宗教地図』藤原聖子

生活において「神が重要」と答えたアメリカ人は54.2%と、先進国では飛び抜けて高い。ちなみに日本は5.4%。アメリカは宗教の国である。

アメリカ人の各宗教との関わりを人口比率で見ると、プロテスタント51.3%、カトリック23.9%、モルモン1.7%、エホバの証人0.7%、正教0.6%、ユダヤ教1.7%、仏教0.7%、イスラム教0.6%、ヒンドゥー0.4%、リベラル度の強いクリスチャン0.7%、無所属(無神論、不可知論など)16.1%、わからない0.8%、となる。キリスト教が75.8%を占めている。
本書の特徴は、ユーチューブからの情報を多用していることである。

現代アメリカ宗教地図 (平凡社新書)
藤原 聖子 (Fujiwara Satoko
平凡社新書 2009年8月

アメリカの政教分離は、国家は特定の宗教を優遇しないことを示すだけで、政治の領域から宗教を排除することを意味しない。
アメリカの信仰の自由とは、どこでも祈る場所を提供することである。

宗教上の保守は父親は外で働き、母親は専業主婦として家庭を守る。性のモラルをはじめとする道徳を強調する。
対して、リベラルは道徳よりも「反差別」に重きを起き、女性、民族・人種的マイノリティ、性的弱者の差別に反対する。国際問題や環境問題にも関心が高い。
保守は、聖書を神の言葉と絶対視しその言葉を文字通り受け取る。世界は神が創造したと信じ、進化論を否定する。天国と地獄の存在や近未来の終末の到来を信じ、天国での救いを最大の目標とする。教会に熱心に通う。
同性愛に反対し、人工中絶に反対し、公立高校に宗教教育の導入を求め、そうしたことを政界に働きかける。
宗教上のリベラルには二つのパターンがあって、リベラル派プロテスタントと呼ばれる人たちで、聖書は人が書いたものと認識している。もうひとつは、東洋の宗教やヨガやスピリチャルなものにひかれているという人たちである。

保守派プロテスタントが目指しているのは、古き良きアメリカを取り戻すことである。
「文化戦争」という言葉が、使われるようになったのは1990年代で、冷戦終結が影響している。保守派の敵が、共産圏から国内のリベラル派に移ったことによる。
人工中絶、同性婚や同性愛者の権利を認めるか、公立学校での宗教的祈りや反進化論教育などを認めるかが争点になっている。

クリスチャンシオニズムという保守派プロテスタントの考えは、イスラエルとパレスチナ紛争をハルマゲドンの始まりと捉え、敵であるユダヤ教徒を支援すれば、終末が近づき敬虔なクリスチャンである自分たちが救われる日が近づくとする。アメリカがイスラエルを支援する理由はここにあるという。
保守派プロテスタントは、ユダヤ教徒はいずれはキリスト教に改宗し、そうでなければ死滅すると考えている。
保守派プロテスタントは、自分たちの宗派以外は天国に行けないと信じているから、改宗を促す。
なんという都合のいい考え方なのか。
何かと面倒を引き起こすのは、保守派プロテスタントということだ。→人気ブログランキングへ

→『現代アメリカ宗教地図』藤原聖子
→『ルート66をゆく アメリカの「保守」を訪ねて』松尾理也

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