2015年

「キャロル」

映画『太陽がいっぱい』(『リプリー』1960年)の原作者パトリシア・ハイスミスの同名の自伝的小説の映画化。女性同士の恋愛を描いた作品。

1952年、クリスマスを向えるニューヨーク。
フランケンバーグ・デパートの館内に、「アイゼンハワー大統領の就任を祝って、特別販売をいたします」とアナウンスが流れる。
19歳のテレーズ(ルーニー・マーラ)は、7階のおもちゃ売り場で働いている。
ゴージャスなミンクのコートを身に纏ったブロンドのキャロル(ケイト・ブランシェット)が、4歳の娘リンディへのプレゼント用の人形を買いに来た。望みの人形がなかったので、テレーズはキャロルに、鉄道セットを勧めた。

キャロル [DVD]
キャロル
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Carol
監督:トッド・ヘインズ
脚本:フィリス・ナジー
原作:パトリシア・ハイスミス『The Price of Salt』
音楽:カーター・バーウェル
アメリカ・イギリス 2015年 118分

この出会いをきっかけに、ふたりは互いの家を行き来する友人となった。
テレーズは一緒にヨーロッパに行くことになっていた恋人との関係に悩み、キャロルは離婚を決めた夫と娘の親権をめぐって悩んでいた。
キャロルはテレーズが写真に興味があることを知り、高価なカメラをプレゼントした。

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ある日、共同親権で合意していたはずなのに、道徳的条項を盾に、夫は単独親権を主張しだした。かつて、キャロルはリンディの名付け親で、幼馴染のアビーとレスビアンの関係にあったのだ。
キャロルはリンディと引き離されてしまう悲しみから逃れるために、テレーズを車での旅行に誘った。
2週間の旅行の間に、ふたりの関係は友人から恋人へと変わっていった。
モーテルでの情交を、隣の部屋に泊まった男に盗聴されテープレコーダーに録音されてしまう。夫に雇われた男だった。

録音テープという証拠を突きつけられたキャロルは、夫に親権を渡さざるを得なくなり、面会権だけだけで引き下がることになった。
そして傷心のキャロルはテレーズとの関係を清算することにする。
関係を絶つことに一度は同意したテレーズだったが、思いを断ち切れず、キャロルに連絡をとろうとするのだった。→人気ブログランキング

「ニュースの真相」

2004年秋、米テレビ3大ネットワークのひとつCBSの『60ミニッツⅡ』の名物アンカーマン、ダン・ラザー(ロバート・レッドフォード)が降板するに至った。当時、ブッシュ大統領は再選を目指し、民主党の候補ジョン・ケリーと競っていた。
番組のプロデューサー、メアリー・メイプス(ケイト・ブランシェット)は、同じ年にイラクの刑務所での捕虜虐待を報じ、賞を獲得した辣腕ジャーナリストである。ダン・ラザーとは父娘のような信頼関係で結ばれている。
原作はメアリー・メイプスの手記である。

ラザーやメアリーが若いスタッフに投げかける「どんなに批判されても、メディアが質問をしなくなったらこの国は終わりだ」という言葉は何回も語られる。

ニュースの真相(字幕版)
ニュースの真相
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監督:ジェームス・ヴァンダービルト
原作者:メアリー・メイプス
音楽:ブライアン・タイラー
製作国:アメリカ  2015年  125分

事の発端は、ブッシュが若い頃、父ブッシュの力でベトナム戦争行きを免れたのではないかという疑惑である。ブッシュの軍歴詐称はほかのメディアも追いかけていた。メアリーのもとに、ブッシュの軍役逃れを示す1枚の書類が舞い込んだ。メアリーは書類の真偽を確かめるべく奔走するが、功を焦ったのか最後の詰めが甘いまま、ブッシュの軍歴詐称疑惑を放送してしまった。
放送後、大反響を巻き起こすが、ブロガーから「書類は偽造」と指摘され、批判が高まっていく。メアリーたちは再調査に奔走するが、書類の信憑性に疑問が残った。

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社の上層部は報道機関としての信用を失墜させたことで、メアリーたちを厳しく追及した。
内部調査委員会で、何人もの弁護士を前にして取材メンバーは調査を受ける。
「コピーの信憑性は?」「証言者の裏をどの程度取ったのか?」「筆跡の鑑定を行ったのか?」「なぜ、書類を真正と断じたのか?」
少しでも返答に詰まると、質問が矢のように浴びせられる。内部調査とはいえ、厳しい糾弾の場だった。

調査が終了し、弁護士たちが席を立とうとした時、メアリーは「書類の真偽」や「証言の信用性」の枝葉末節なことばかりが追求されたが、明らかにしなければならないブッシュの軍歴詐称疑惑には、少しも触れていない。何も解決されていないと調査団に噛み付く。
メアリーたちの行動は、故意に行われたものではないと判断されたが、処分は非情なだった。
メアリーたちは、圧力に屈することなくジャーナリストの矜持を貫いたが、勇み足が命取りになった。→人気ブログランキング

「幸せをつかむ歌」

サンフランシスコの小さなライブハウスで、ロックバンド「リッキー&ザ・フラッシュ」のボーカル兼ギター担当のリッキー(メリル・ストリープ)は、かつて夫と3人の幼い子どもを捨てて、ミュージシャンの道を選んだ。
離婚の後、夫のピートはアフリカ系アメリカ人の女性と結婚し、3人の子どもを育てた。
子どもたちはリッキーを恨んでいる。
リッキーは経済的にどん底の状態で破産を申請している最中。

メリル・ストリープは才能が豊かな役者だと、改めて感じさせる作品である。
ギターの扱い(コードが主だが)が堂にいっていて、歌も上手い。本映画に備えて、ラリー・サルツマンやニール・ヤングらのもとでギターのレッスンを受けたという。
メリルは何をやっても様になるプロ中のプロだ。

幸せをつかむ歌 [DVD]
幸せをつかむ歌
posted with amazlet at 17.04.20
監督:ジョナサン・デミ
脚本:ディアブロ・ゴディ
原題:Ricki and the Flash
アメリカ 2015年 101分
★★★★

インディアナポリスで暮らすピートからリッキーに電話がかかってくる。
娘のジュリー(メイミー・ガマー、メリル・ストリープの実娘)の夫が家を出て行ってしまい、ジュリーが心身ともに参っているので力になって欲しいとのこと。ピートの妻はアルツハイマー病の父親の介護で留守にしている。

なけなしの金をはたいて、リッキーはインディアナポリスに向かった。
豪華な邸宅が立ち並ぶゲート・コミュニティの入り口で、リッキーは身分証明書の提示を求められる。貧乏ロッカーが訪れるようなところではないというわけだ。

ジュリーは、風呂に入らず着替えもせず、食事もまともに摂らないほど落ち込んでいた。
最初は反抗的な態度をとるジュリーだったが、陽気に優しく接するリッキーに次第に心を開いていく。

サンフランシスコに帰ると、相も変わらぬ貧乏暮らしが待っていた。ある日、リッキーは、バンドのギタリスト・グレッグから求婚され、戸惑いながらも承諾した。
そんな折、リッキーのもとに息子の結婚披露パーティーの招待状が届いた。
お金がないリッキーは欠席しようとするが、グレッグが愛用のギターを質に入れて、お金を工面してくれた。

いよいよリッキーがスピーチに立った。リッキーからの新郎新婦へのプレゼントは歌うこと。ステージには「リッキー&ザ・フラッシュ」のメンバーがスタンバイしていた。→人気ブログランキング