古い骨 アーロン・エルキンズ
人類学者のオリヴァー教授は、骨を見ただけでその人物の生前の職業や病気や死因までも言い当ててしまう凄腕の人物である。これまでに、いくつかの事件を解決に導き、「スケルトン探偵」と呼ばれている。今回の事件の舞台はフランス。
古い骨 アーロン・エルキンズ 青木久恵 訳 ハヤカワ文庫 1989年 |
モン・サン・ミッシェルの干潟で、レジスタンス運動の英雄だった富豪のギヨームが溺れて死ぬ。ギヨームは自らの館をホテルに売却する話をするため、一族を呼び集めていた。
葬式が営まれた後、遺言状が公表されたが、何も手に入らない親族の男が遺言状の信憑性に疑問を投げかけた。
その直後に、館の地下室から白骨死体が発見された。骨はばらばらに切断されており、ナチス親衛隊員の可能性が浮かび上がった。
たまたまフランスを訪れていたスケルトン探偵が、白骨の鑑定を依頼されて館に呼び寄せられた。
そして、その夜、遺言に異をとなえた男が、青酸カリ入りの赤ワインを飲んで殺された。
こうして、スケルトン探偵は、時制の異なる三つの殺人事件に取り組むのだった。
新婚一年余のオリヴァーは、愛する新妻に毎夜電話をかけている。オリヴァーは、周りの人間に気さくに声をかけたり、自らの推理の誤りを指摘されると素直に認めたり、気のおけない性格である。FBIのジョン・ロウ捜査官が助手役を務め、シャーロック・ホームズを彷彿とさせる設定になっている。
1988年アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞受賞作。→人気ブログランキング